Don't think, feel !

□8話
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今日も今日とて暑い。
そんな中クーラーもない、風も通らない教室で私は今講習を受けている。先生が必死に授業をしているけど、暑さで内容が頭に入ってこない。
隣の男子を見ると真面目にノートに板書していた。偉いなぁ。

私といえば、席が一番窓側なのをいいことに外の景色を眺めている。日差しは強いけど、学校が丘に建っているため街全体が眺められてなかなか良い景色だ。

勉強しろって感じですよねすみません。

空を見ると雲がのんびりとただよってる

なんか竹中さんの髪をクシャクシャしたくなってきた…。

いや、決してあのふわふわの雲と竹中さんの白い綺麗な髪がシンクロしたわけじゃないよ!?決して!!
前にお風呂上がりの竹中さんの髪をドライヤーで乾かしてあげたときに触ったんだけど、凄いふわふわで気持ち良かった。今流行りのゆるふわですか?って言ったら、はぁ?って感じの顔をされたのを私は忘れない。


「ごめん、消しゴム貸してくれる?忘れちゃったみたいで」

いきなりかけられた声によって回想から現実へと帰っていく。声の主は真面目に授業を受けていた隣のメガネくん。あ、メガネはかけていなかった。

「どーぞ」

素直に消しゴムを渡すと「さんきゅ」と軽い返事が返ってきた。

あぁ、なんて平凡で平和な日常。この感覚は久しぶりだ。


プリントが配られ、カリカリとシャーペンを走らせていく。
それでも私の脳内は違うことを考えてしまう。



早く帰りたいなぁ…



今頃2人は何をしているのだろうか。
今朝、竹中さんにも「竹中さんの楽しみってなんですか?」と聞いてみた。そしたら「秀吉と居ること」って返ってきた。


・・・そうっすか


この時の私にはこう言うしかなかった。
だって竹中さんの目がめちゃくちゃ据わっていたからね!
まだ石田さんの鍛練のほうがマシだと思ったよ!



肝心の夏期講習のことを説明したら竹中さんは私の目をしっかり見てこう言った。

「鈴くんが居ないのは寂しいけど、僕達のことは気にせずしっかり勉学に励むんだよ」

「はい…!お母さん…!」

つい出てしまった心の声にピシリと竹中さんが固まったのも私は忘れない。あの時石田さんが外出していて良かった…。
不安だったけど朝の散歩を許可して良かった…。もしあの場に石田さんがいたら私は今頃ザンメツされていただろう。

想像しただけで冷や汗もんだよ。石田さんやっぱ恐るべし




「音無どうした?顔色スゲー悪いよ」

「なななななんでもないよメガネくん!!」

「俺メガネかけてねーんだけど」




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