Don't think, feel !

□17話
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鈴が素直になる。と言って、大谷は少しも悲しくはなかった。それどころか安堵した自分がいた。やはり鈴も同じなのだと。

鈴はといえば無表情で真っ直ぐ大谷を見ている。大谷は鈴の意図がよく分からず心の中で首を傾げた。

「大谷さん。私別にそんなこと思ってませんよ。」

嘘なら、誰でもつける。こんなありふれたうわべだけの優しい言葉を大谷はいくつも言われてきた。その度に大谷は「またか。誠ご苦労なことよ」と内心ほくそ笑んでいた。けれどこの目の前にいる少女の言葉は自分のそんな疑心暗鬼の気持ちや卑屈な気持ちを押し退け、ストン、と大谷の中へと入っていった。

「すみません。ひねりも何もないこと言って…でもこれが私の素直な気持ちです。あと私特に何も考えてませんから」

それだけ言うと鈴は大谷の出方を伺った。大谷は何だか思いすぎた自分が笑えてきた。この少女はなかなかの大物かもしれない。

「われの完敗よ」

「な、なんかよく分かんないけど勝ったぞー?」

そんなことを二人で言っていると向こうから一仕事終わりましたという感じで満足気な竹中と石田が歩いてきた。

「ふふ…やはりこの僕に不可能はないね。三成くんもそう思うだろう?」

「はい!半兵衛様もちろんです!」

「あ、無事に洗濯終わったんですね。ありがとうございます」

「いやぁこのくらい礼には及ばないよ」

「そうですね洗剤入れてボタン押すだけですからね今のお礼は取り消しますご苦労様」

「鈴くんのそういうところも僕は好きだよ」

「刑部!鈴に何かされなかったか!?」

「心外だっ!!!私は石田さんや竹中さんに何かしても大谷さんには何もしませんよ!!!」

「鈴くんそれこそ心外だよ」

「われは鈴とナカヨシコヨシしていただけよ。鈴、続きは今夜にしやるか」

「うわぁ堂々と嘘つかないでください大谷さん!その言い方いらん誤解をまねきますから!」

「鈴貴様…」

「違いますよ!?違いますからね!?今のは大谷さんの嘘ですからね!?」

「ほう。われとしたことを嘘にすると。鈴は見かけによらず魔性の女よなぁ…ヒヒッ」

「あんた楽しんでるだろおおおおおおおおお!!!」

「惨滅してやるああああああ!!」

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアア」

「あーうるさい」

窓の風鈴が風でチリンチリンと鳴るなか竹中の声は三人には聞こえていなかった。あまりのうるささに隣の住人から壁ドンされるまであと三十秒。




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