Don't think, feel !
□12話
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「へぇー。つまりずっと傘を連呼していたのに忘れてしまったと。」
「そうなんだよ」
「アンタバカァ?」
「え、アスカ!?」
だから馬鹿だと言っているじゃないか!さらに追い討ちかけるなよ!
教室の窓から外を見れば、うん…ザァザァ降ってますね。雨が。こういうときばっかり天気予報当たりやがって。
「そう気を落とさないで鈴ちゃん。私の傘に入れてあげるから。」
「ホント!?」
「ホントホント」
ありがとー!と舞い上がる私。やっぱり綾は優しかった!!
そうとなれば、雨が酷くならないうちに帰ってしまおう。項垂れていた体を起こしてカバンを持つ…
『キャアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!』
ズタッグシャッ
「鈴ちゃんんん!?」
帰ろうとした瞬間突然の悲鳴にびっくりして私は
転けました。
「地味に痛い…てゆうか、何!?今の悲鳴!?」
「なんか…みんな外見てるみたいだよ」
綾の言葉に沿って窓の方を見ると、教室に残っていたクラスの女子大多数…いや、全員が窓から飛び降りんばかりに身を乗り出してキャーキャー言っていた。悲鳴というよりも歓喜…黄色い声っていうんだっけ?
「カッコいい!!誰あの人めっちゃイケメン!!!」
「ヤバい!!!誰かの兄弟とか!?」
「近くで見たいー!!!うちらも下行こう!!!」
成る程。どうやら校門付近にイケメンが居るらしい。イケメンかぁ…私も帰ったら凄いレベルのイケメン達がいるからなぁ…あんまりそこいらのイケメンには驚かないよ?(だからどうした)
「うわっホントだ凄いカッコいい」
「え、綾が言うほど?」
綾も私と同じでそのような類いのものに興味がない人なんだけど、その綾が言うもんだから私も少し好奇心がわいた。
「どれ?私にも見せ…」
「ん?鈴ちゃん?あれ!?どうしよう鈴ちゃんが石化しちゃったアアアアアア!!!」
いや、だって、え、嘘でしょ?????
イケメンって…
石田さんと竹中さんじゃねぇかアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
ガクウウゥと凄い勢いで私は崩れた。何故に2人がここに!?
ちゃんと傘をさしてるあたりは褒めたいけど!!
いきなりしゃがみこんだ私を見て、先程からずっと騒いでいた女子の中の一人が私に声をかけた。
「もしかして…鈴あの人達のこと知ってるんじゃないの?」
「ギクーーーッ!・・・・・・・・・・・・・・・・シ、シラナイヨ?」
「絶対知ってるでしょー!!!」
その瞬間ワアアッと女子軍が私に押し寄せてきた。嬉しいけど嬉しくない。
「え、鈴知ってるの!?誰!?もしかして彼氏!?」
「あの人達なんていうの!?お願い紹介して!!!」
次々と私利私欲が私に飛んでくる。女の子って凄い。綾に助けを求めようとチラリと見たら、ちゃっかり安全地帯に身を置いていた。裏切られたっ
「彼氏なわけないじゃん!!」
「じゃーなんなのよ!?」
「あれ…あの人達はあれだよ…私の
オニイチャン?」
「嘘つけえええ!!!」
大ブーイングくらった。あんな綺麗な人達が鈴の身内なわけない!…ってどういう意味だオイ、泣くぞ。確かにその通りなんだけどね。
「うう嘘じゃない!!そういうわけでお兄ちゃん達が待ってるから私はこれで!!綾ごめん私先に行くね!!ホントごめん!!」
「え?あ、うんいいよ。早くお兄ちゃん(笑)達のとこに行ってあげなよ」
「あれ、前が霞んで見えないや」
全力疾走で私は校門へと急いだ。
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