Don't think, feel !
□11話
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石田はなかなか寝付けず、起き上がった。
もともと睡眠などいらない主義な彼は、毎晩あまり眠れない日々を過ごしていた。
もとの世界であれば、鍛錬に仕事などやらなければいけないことが山ほどあったので、眠れないことに悩むなんてことはまずなかった。ハァとため息をつき布団から出る。
鈴と半兵衛様はとうに寝ている時間だろう。そう思い足音を立てずに居間へと向かう。気配を絶つのは慣れている。
「・・・鈴、か?」
鈴の部屋から何やら音がしている。気になったので鈴の部屋の扉に近づき声をかける。が、返事はない。
鈴が一人で寝ている部屋に勝手に入るのは気が引けたが、何かあったあとでは遅いと思い扉を開けた。
部屋には布団に包まれ眠る鈴が。
机の上には眩しい光を放っている…カラクリだろう。音の正体はこれか。
拍子抜けした石田は部屋を出ようと扉の取っ手に手をかけた。
「ん…」
背後の鈴が寝返りをうったのが分かった。起こしてしまったかと思い鈴に近づき顔を見る。
泣いている…?
正直、驚いた。
夜に一人で眠りながら泣いていたことにでもあるが、鈴、という少女が泣いていたことに驚いたのだ。
この少女はいつも割り切ったような。どこか冷めた態度をとり、年齢に反り合わない性格をしている。
だが、今は年相応のただの少女に見える。
寝顔が幼く無防備だからか。こいつはもう少し危機感を持ったほうがいいとは常々思っていたが、今日はより一層そう感じた。
床に座り、鈴の頬に流れた涙を指で拭った。鈴は起きることなくスゥスゥと寝息をたてて眠り続けている。
こいつが何故泣いていたのかは分からないが、別段気にすることでもない。人には誰でも話したくない何かを抱えているものだ。それを無理矢理聞こうとする無粋なことはしない。さして興味もない。
涙を拭った指は鈴の前髪を触り、頭へといく。気づけば鈴の頭を優しく撫でていた。
そういえば今日、半兵衛様もこうして撫でていたな…。
らしくない。
「何をやっているのだ私は…」
手を引っ込め、立ち上がる。
部屋を出ようとして、扉へと向かう。ふと足を止め、鈴を見る。
一つ、疑問が残ったのだ。
「こいつは…一体いくつなんだ」
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お互いに相手のこと
知らなさすぎ
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