Don't think, feel !

□10話
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ー私は好きであの人と結婚したわけじゃないの!!


ー私を連れてどこか遠くへ逃げて、お願い!!












「この女アアアアアア!!一度誓い合った者を裏切るとはなんたることだ!!切腹しろオオオ!!」


「ちょっと三成くん、見えないし聞こえないんだけど。黙りたまえ」



「も、申し訳ありません半兵衛様アアアアアア!!!」













「あんたら何してんの」



帰ってきたらいつも玄関にスタンバイしてる2人がいなかった。
ので、不思議に思って入っていったらテレビの前で石田さんが刀持ってた。何で刀テレビに向けてんの。つか何で刀持ってんの。私隠したはずだよね?使っちゃ駄目って言ったよね?約束破ったら家から追い出すって



「家から出てってもらいますよ」


「な、何故だ鈴!!」

「刀使っちゃ駄目って約束したじゃないですか!!てか私隠したはずですよね!?どうして隠し場所分かったんですか!?あと何でテレビに向かって刀抜いて…あぁもうどこから突っ込めばよいやら!」


暑い中帰ってきたのにさらに暑くなりそう。

こんなに私が叫んでいるのに竹中さんはいまだに昼ドラを観続けている




「って、竹中さんも刀出してんじゃないですかアアア!!!何なんですか2人揃って反抗期ですか?」



普通の一般家庭の居間に刀抜いてる青年2人って…どんだけシュールな絵面だよ。とりあえず石田さんはテレビに斬りかかるのやめようか



「悪いとは思ったけど、手入れをしないと刀が使い物にならなくなるのでね」


そう言って竹中さんはまじまじと刀を眺める

私はいきなり叫んで疲れたので冷蔵庫から何か飲み物を…と思って開いてみたけど、ジュースどころか麦茶すら入ってなかった。買い物に行かなきゃな…




「それはまぁ仕方ないかもですけど…くれぐれも誰かに見られないようにしてくださいね!!マジで捕まりますから!!いいですか!?」

「つまり誰にも見られなければ刀を出してもいいということかい?」

「だって刀の手入れは大事なんでしょ?それくらい分かりますよ」

竹中さんが今自分で言ったんじゃないか。

「鈴くんは物分かりが良いね。僕は聡い子は好きだよ」


そう言って刀を鞘に納め、私の頭を優しく撫でた。頭を撫でられるなんて慣れていないし凄い久しぶりだったから私は柄にもなく照れてしまった。


「ただし鍛練は遠慮してください。特に石田さん。あと器物損害もやめてください。特に石田さん。」

「私ばかりではないか!!」

「だって石田さん血気盛んなんですもん。ほら、気がすんだらさっさと刀しまってください」


近くに刀があるってめっちゃ怖いんだって!!しかも2人の刀ってなんか禍々しいっていうか…何かしらの仕掛けがありそう。竹中さんの刀とか形自体がちょっとおかしい気がするし。刀に詳しくないからよく分かんないけど


私がうだうだ考えていると2人とも素直に刀をしまった。よしよし。これで大分空間が平和になったぞ。私も制服を着替えてこよう。


その前にシャワーでも浴びるか



***



シャワーを浴び終えて着替えている最中、居間から叫び声が聞こえた。あの無駄にかっこいい声は石田さんだな。あの人大声出すのが趣味なのかな。


冷静に服を着替えて居間に早足で向かう。叫び声にびっくりしてタオル巻いただけで行くなんて奇行は私はしませんよ。そんな不快なラッキースケベあちらだって迷惑でしょう。あれ、自分で考えてて悲しくなってきた



「どうしましたか」


居間にやってきて私は言い放った。見たところ2人とも普通にしてるけど…あ、違うな。立ってる石田さんの目がなんかギラギラしてる。怖い。



「すまないね鈴くん、気にしないでくれたまえ。三成くんが鍛練したくて叫んだだけだから。三成くん、あまり鈴くんに迷惑はかけないように」



ソファーに座っている竹中さんが慣れた感じに言った。どんだけ鍛練したいんですか…。状況を理解した私はつかつかと石田さんのもとへ歩いた。


「お気持ちは分からんでもないですがね、いい加減この事態を受け入れてくれませんか。少しは竹中さんを見習ってください」


「貴様に何が分かる。今、私がこうして生ぬるい世界で呑気に生きている間にも秀吉様は天下への道を築いていらっしゃると思うと…!!」


「でも何もできませんよ。今のところ帰り方も分かりませんしね。受け入れるほかないと思いますけど」



ちゃんと石田さんは分かっていると思っていた。けど、考えが甘かったみたいだね。私だって帰れるなら早く帰ってほしい。

















でも、最近そうも思わなくなってきた




















「・・・いやいやいや!!何考えてんの自分!!帰ってほしいに決まってんじゃん!!!アホか!!私はアホか!!」


「いきなりどうしたのだ」


突然訳の分からないことを言った私に石田さんは若干引いていた。

私、この厄介な人達と少しでも一緒にいたいって思った…?

あり得ない!!あり得ないよ!!私は1人が好きな女子高生なんだから!!さっきから思うこと悲しいなオイ!!


「ききき気にしないでくださいアハハ…」


うおおおと悶えていると不意に竹中さんと目が合った。
合った途端竹中さんはふふと笑ってこちらを見た。セリフをつけるなら「計画通り」って感じ。




なんかすべてを見透かされたようでさらに恥ずかしくなった



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