Don't think, feel !
□10話
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「鈴ちゃん、私ちょっと図書室行って調べものがあるんだけど、一緒に行かない?あんまり時間はかからないよー」
講習が終わった直後、友達の綾が私に声をかけた。
「いいよ〜私も久しぶりに図書室行きたいし」
早く帰らないといけないかなぁとも思うけど、少しくらいなら大丈夫だよね。学校出たあとダッシュで帰ればいいんだ。
いや、やっぱ暑いんで小走りで。
図書室に着いた途端、綾は本棚へ直行した。行動はやっ。
図書室内は私達しかいなかった。講習期間は好きに利用していいのだが、生徒がいないどころか司書さんさえも図書管理室から出てくる様子はない。
にしても、綾は偉いよなぁ。講習が終わったあとも図書室で調べものなんて。勉強家だ。テストがいつも赤点ギリギリの私には考えられない
「綾は凄いねー」
「えぇ?どしたの急に」
「いや、マジでそう思ってさ」
すでにたくさんの本を持ってパラパラとページをめくる綾に近づき喋りかけた
「あぁ。違う、違うよー。これは勉強とかじゃなくて個人的趣味で調べてるの」
カラカラと笑いながら綾はそう言い放った。個人的趣味…?綾の趣味って何…?
「何の本読んでるの?見せて」
本の表紙をひょいと除いてみた
「・・・石田三成」
「うんっ!それでこっちの本は徳川家康で、こっちは豊臣秀吉!!あとこれはー…」
持っていた本の表紙を次々と見せてくる。
ちょっとストップストップ。そしてシャラップ。
「石田三成が個人的趣味…?」
「石田三成ってゆうか…歴史が好き」
その中でも好きなのは石田三成!と可愛らしい笑顔で言う。
石田三成ならうちに居るよー…。ただし美形不健康男児の石田三成だけどねー…
「知らなかったなぁ。綾が歴史好きとは」
高校入って友達になってから、一度もそんな素振りを見たことはなかった
すると綾は少し赤くなって頭をかいた
「いやぁ、だって隠してたから。鈴ちゃんは特別。」
エヘヘと本で口元を隠して笑う綾。
何この子天使?
それに「特別」って…なんか嬉しいな。
嘘。凄い嬉しい。
でも石田三成はやめたほうがいいと思う
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