取柄を失った少女
□14章
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「もう終わりましたよ…じゃなくて浜野君、泣いて…!」
「なんでもないよ!あくびしただけ!」
情けないな、俺
「なんでもないわけないじゃないですか…はぁ。で、綾崎さんは?」
言及しないのは速水の優しさか
それとも呆れてものも言えなかったのか
「…わかんない」
「は?わかんないって…一緒にいたんじゃなかったんですか?」
…耳が痛い
「一緒にいたんだけど…ちょいとね…教室戻ってなかったの?」
戻ってて欲しいと
そういう願望だったんだと思う
「いたら聞きません!どうすんですか…サボりに付き合わせといて行方不明とか…!」
そうだよな
「…どうしよ。俺…探していいのかな?」
さっきの背中を思い出す
「はい?なに言ってんですか君は!行きましょうよーヤバいですよっ」
ヤバいですよを連発する速水に引きづられて
俺達は凛を探し始めた