取柄を失った少女
□9章
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『フォルテシモ!』
見ると、キャプテンの神童君がシュートを打ったところだった
でも…相手のキーパーに止められてしまった
「あぁっ…」
『なみのりピエロ!』
今度は海士が必殺技でボールをキープしている
しかし…FWにパスしたときにカットされてしまった
海士の顔が、悔しそうに歪む
「海士…っ」
「凛ちゃん」
「はい!ってあ…」
気づいたら私の足は止まっていて、試合に見入っていた
「すみません!」
慌てて走り出すと
「待って凛ちゃん」
倫子さんは私を止める
「はい…?」
「ちょっと休みましょうか。サッカーでも見ながら、ね?」
「…!ありがとうございますっ!」
私は倫子さんのご厚意に甘えさせてもらうことにした