取柄を失った少女
□8章
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剣城君はサッカー部の練習を見ていた
その瞳は…とても憎々しげな色を宿している
「あの、剣城君?」
私は傍まで行って声を掛けてみた
「!あんた…綾崎凛」
剣城君はとても驚いた顔をしていた
「雷門中だったのか?」
あ、そっか。そのこと言ってなかったんだね
「そうだよ。2年生」
「…しかも年上だったとはな」
…そういえば私年上なんだ
全然そんな感じないけど
「ねぇ、剣城君は…フィフスセクターの人なの?」
「ああ」
「じゃぁ雷門中のサッカーを管理してるってこと?」
「一応そういうことだな」
「…なんで?」
「あ?」
「なんでサッカーを管理するなんて馬鹿げたことする組織に入ったの?ひょっとして君もなにか取引で…?」
「…あんたには関係ねぇよ」
「…!」
「俺はサッカーを憎んでる。俺が…雷門サッカー部を潰す」
「何言って…!」
「じゃぁな」
そう言うと剣城君は去っていってしまった