取柄を失った少女
□4章
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「おわ!?ホントだ!」
肌が焼けているからわかりにくいけど、無数のあざが背中にできていた
「朝見たときはありませんでしたよね…?」
「ああ…多分」
「練習中になんかあったか?」
「まさか栗針になんかされたとか!?」
「いや…そんな記憶は…」
サッカーやってりゃあざの1つや2つくらいできることはしょっちゅうだけど、
こんなに背中にたくさんできるのは確かにちょっと変だ
「う〜ん…今朝は…あ!」
「なんか思い当たることがあんのか?」
さっき…凛を庇ったときか
あの書物とか諸々、想像以上に重かったもんなー
「おい?どうなんだ?」
「あ〜なんちゅーか…栗針がキレて机蹴ってさ、それで上の棚に積んであった本とかいろいろ落ちてきて、それでちょっと…な?」
「なっ…!」
みんなの顔に怒りの色が浮かぶ
「教師が生徒に怪我させたのかよ!」
「最悪だな…」
「栗針に抗議しにいくド!!」
「俺も行くぞ、天城」
「いやいや先輩たち、ちょ、ストーップ!!」
俺は慌てて止めに入る
「なんだド!」
「いや、気持ちはありがたいんですけど、そんな抗議とかしなくて大丈夫ですから!」
「でもなぁ…」
「ほら、俺無事だし?あざも今の今まで気付かなかったくらいですからね!」
背中はいたかったけどね…
「それに今また栗針のトコ行ったら今度こそ殺されんじゃないスか俺」
「ま、まぁ確かにな」
「そうそう。だからいいですって!」