取り戻した先に

□7章
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次の日。

今日は日本対ブラジルの試合が行われる。

海士たちの初戦。

あたしは護衛の人と一緒にスタジアムに向かった。

『あれって歌姫じゃないか?』

『歌姫様だ!』

道を歩けば注目を浴びるのには未だに慣れない。

『では、ここからご覧ください』

『ありがとう』

歌姫専用の席、ってだけあって
確かに見やすくて…豪華な席だった。

『選手入場!』

その声と同時に入ってくるみんな。

「海士!」

大好きな人の姿もそこにあった。

海士は私を見つけると
手を振る代わりにウィンクをくれた。

試合中も
目で追うのは海士ばっかり。

やっぱり海士がサッカーしてるのを見るのは幸せだなぁ…

「歌姫は日本贔屓だと噂ガ…」

「だめ?相手はイタリアじゃないのに」

…相手がイタリアだったら
私はイタリアを応援しなくちゃいけないんだよね。

「…イタリアの試合を観ル時、それよりもっとハイテンションでいられるなら」

…それは難しいかもしれない。

「できないなら、抑えて」

「…はい」

でも

抑えたってどうしても

海士の活躍を見たらにやけちゃう。

そして

『試合終了!勝ったのは日本だ!』

そのアナウンスに

「やったー!」

飛び上がっちゃったのくらいは勘弁してね
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