取柄を失った少女
□11章
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そして放課後
不安と楽しみの入り混じった複雑な気持ちでサッカー棟へ向かう
中に入らずオロオロしてると
「あ、綾崎さん!どうぞ入って!」
音無先生が声をかけてくれた
「緊張してるの?」
私は苦笑いを浮かべた
「はい…と言うか、瀬戸さんや浜野君には選手で入ることを推されていたので…なんて言っていいかわかんなくて」
私だって本当はサッカーしたいって
そう言えたら楽なのかもしれないけど
「そうね…理由を話すのはやっぱり辛いわよね?」
「はい…すみません」
やっぱりまだ言えない
言ってしまったらそれこそ
可能性を否定することになってしまうような気がして
「いいえ、ごめんなさいね。まぁなるべく助け舟を出せるように頑張るから、綾崎さんも頑張って!」
「…はい!ありがとうございます!」