ホントの自分

□17章
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その日の夜のことだった

私はいつものように店にいたら

「華蓮」

篤志さんが店にやってた

「今日はお客さん?」
「んーまぁ他の指名入ったら消えるからさ、相手してくれよ」
「はい」

篤志さんはたまに気まぐれでこうして店にくる

店のみんなには私の彼氏ってことは言ってあるから、他の指名が入ったらすぐ仕事に戻るって条件で無料で店に入れてくれる

「どうだ?月山国光は」
「…割と堅い感じでしたね」

浜野君みたいな人とは合わなそうな気がする…

「でも普通に喋れたから…よかったです」
「だな。正直あんな喋れると思ってなかったぜ」
「私も…案外といけるんですね」

なんで今までできなかったんだろう
ずっとそうしたいと願ってたのに
今更後悔してもしょうがないんだけど…

「ま、悪い奴らじゃねぇみたいだしな」
「そうですね…」

雷門の生徒は全体的に賑やかで…ちょっと過ごしにくかったのも事実だし

でもやっぱり少しだけ寂しかった

雷門にいても、茜ちゃんが構ってくれたのを除けば殆どいつも独りだったし
転校したって寂しくないと思ってたのに…

茜ちゃんと仲直りできてないのもちょっと心残り

篤志さんは私を抱き寄せて言った

「大丈夫、俺がついてるから」
「…はい!」

そうだよね
大丈夫、このままならきっと友達もできる
楽しい学校生活が送れるよね…

その時

「KAREN!指名入ったわよ!」
「あ、はぁい!篤志さん、ごめんなさい…」
「いや、いいよ。じゃぁな」

篤志さんはそう言って部屋を出ていった
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