取り戻した先に

□7章
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次の試合まではまだ時間がある。

『ねぇ、海士のところ行っても…』

『いけません』

…やっぱり。

『どうして?…どうしても?』

『どうしてもです』

そろそろわかってきた。

ここは…とにかく融通が利かない。

「海士…」

歌姫、を受け入れたからには

私はイタリアのために歌う。

そこに依存はない。

でも

海士が好きで

一度は歌のためにすべてを失ったけど

今なら…そんな選択は絶対にしないと思う。

海士を失ったら
今度こそ終わりかもなっていうくらい

そのくらい大好き。

だから

こうしている時間が苦しい。

わがままだって言われるかもしれないけど

正直、頼まれた側としてはもう少し私の自由も考えて欲しかった。

私は海士のことばかり考えながら次の試合を待っていた。
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