その他 短編/中編

□ヲタクラ。
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「おーい、後ろ詰まってんだけど」
「あ……ごめん」

これだから学校は嫌だ。後ろが詰まっていたらどかなくてはならない。
やっぱり不自由だ。

自分は永久にこの水を眺めていたいのに。

「お前、ほんと潔癖症だよな。いつも手洗ってね?」

手を洗っているんじゃない。
自分の手ごときでは決して水の自由を奪えないことを確かめているんだ。

手洗い場を追われ、縋りつくようにウォータークーラーのペダルを踏む。

瞬間流れ出す水。
見事なアーチを描き、自由に旅立っていく。

ため息の出る美しさだった。
なかなかどうして、自由なものとは美しい。

自分はそのアーチにそっと口付ける。

一瞬歪み、そのまま流れ続けるものと自分の口へと飲み込まれるものとに分かれてしまう。

しかしその程度では水の自由は奪えない。

この水は自分の身体を自由に駆け巡り、いずれは自然へと還ってゆく。

どこまでも自由だ。

そう思っていた。

それを見つけるまでは。
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