取り戻した先に
□1章
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「俺は少しでも凛と長くいたい」
真顔で紡がれた言葉に
こっちは真顔でいられるはずもなく。
「そ、そんな…それは私もそうだけどっ…///」
「ほんと!?じゃあそれでOKじゃん!」
よかったよかった、と笑う海士。
「あ、でもそれなら私が海士の家まで送っていくのもありだよね?」
「えー!?いやいや、ちゅーかそこはさ、一応男のメンツってもんが…」
本気で慌てる海士。
「くすっ…冗談だよ、ありがとう」
そこまで意地を張る必要もないよね。
「なんだよもう…っはは!」
最後には2人で笑ってる。
「じゃあまた明日!」
「うん、またね!」
そうして1日は終わっていく。
今日も、昨日も
明日もきっと…
海士と笑いながら毎日は過ぎていくって
そう、信じてた。
この幸せな日常を
「ただい…」
取り戻した矢先。
『お眠りください、歌姫』
「っ―…」
待っていたのは暗闇だった。