取柄を失った少女
□8章
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「それは誰だってそう思うでしょ?」
「それがそうでもないみたいなんだよねー…実際、どの学校にも奴らが送り込んだシードがいるし」
シード…ひょっとして剣城君はそのシードなのかな?
「そんだけシードがいるってことは、やっぱ管理が必要だと思う奴がいっぱいいるっちゅーことじゃね?」
「それは…多分違うと思う」
「え…?」
昨日のことを思い出す
条件
あんなものがみんなに与えられてるとしたら…
「多分だけど…そのシードって人たちも、みんながみんなサッカーの管理を必要としてるって思ってる訳じゃないんじゃないかな?
なんか理由があって…とか」
そう言って海士の方をみると
びっくりするくらい真剣な顔で考え込んでいた
それから
「…そっか。そんな風に考えたことなかったけど、ひょっとしたらそうかもって気がしてきた!ありがとな!」
そう言う笑顔は
とってもすっきりしたようで
「まぁとにかく俺が言いたいのは!サッカー部入ってよってこと!俺、凛と一緒にサッカーしたいなー」
あ、その話だったね
「ありがとう…でもごめんね」
「むー…まぁとりあえず!日曜日、俺ら練習試合なんだよなー。よかったら応援来てくれよ」
「日曜日…うん!もし行けたら行くね!」
海士のサッカーする姿は見てみたい
「そんでもってもし気が変わったら」
「それはないかな」
「わ、わかんねぇじゃん!」
「あはは…」
海士が熱心に誘ってくれるのは本当に嬉しい
でもそれと同時に…
ものすごく苦しかった