取柄を失った少女

□8章
10ページ/10ページ

「それは誰だってそう思うでしょ?」

「それがそうでもないみたいなんだよねー…実際、どの学校にも奴らが送り込んだシードがいるし」

シード…ひょっとして剣城君はそのシードなのかな?

「そんだけシードがいるってことは、やっぱ管理が必要だと思う奴がいっぱいいるっちゅーことじゃね?」

「それは…多分違うと思う」

「え…?」

昨日のことを思い出す

条件

あんなものがみんなに与えられてるとしたら…

「多分だけど…そのシードって人たちも、みんながみんなサッカーの管理を必要としてるって思ってる訳じゃないんじゃないかな?
なんか理由があって…とか」

そう言って海士の方をみると
びっくりするくらい真剣な顔で考え込んでいた

それから

「…そっか。そんな風に考えたことなかったけど、ひょっとしたらそうかもって気がしてきた!ありがとな!」

そう言う笑顔は
とってもすっきりしたようで

「まぁとにかく俺が言いたいのは!サッカー部入ってよってこと!俺、凛と一緒にサッカーしたいなー」

あ、その話だったね

「ありがとう…でもごめんね」

「むー…まぁとりあえず!日曜日、俺ら練習試合なんだよなー。よかったら応援来てくれよ」

「日曜日…うん!もし行けたら行くね!」

海士のサッカーする姿は見てみたい

「そんでもってもし気が変わったら」
「それはないかな」

「わ、わかんねぇじゃん!」
「あはは…」

海士が熱心に誘ってくれるのは本当に嬉しい
でもそれと同時に…

ものすごく苦しかった
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ