その他 短編/中編

□In die tribulationis
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終わろうとしていた

あの日、私の命は
確かに終わろうとしていた

降り積もる雪の白さに
人間らしさなんて欠片も残らない声で叫ぶ私

なにを叫んだのだろう

覚えてなんかいないけれど

覚えてる

あの日もらったじゃがバターの味を

投げ捨てられた上着に染み付いた匂いを

そして

「いいか。くだらないことで叫ぶな。だが…もし本当にもうだめだと思ったらその時は…
叫び散らせ。命尽きるまでな」

あの日聞いた神の声を
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