Tatsumi Dream
□beyond
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明け方になるとあの人がやって来る。
毎日1度は来ている。
そこまで長居することはなく、ここであの人が一緒に眠ったりすることはない。
自分に1日に何度か食事をさせ、一通り抱くとそのまま帰っていく。
自分は体が怠く、そのあとはそのまま眠ってしまうことが多い。
明け方近くなり、外から光が漏れて麗奈は眼を覚ます。
暫くして部屋の扉が開かれてあの人がやって来る。
麗奈は何とか体を起こしてベッドに座り込む。
彼が自分の傍に近付いてくるとそのまま今出せる目一杯の力で抱き付く。
そうすると彼からも抱き締められる。
あと何日こんな日が続くのだろう。
考えたところで無駄だ。
自分の命はこの人の掌の上。
どうしようもないこと。
麗奈は辰巳の足の間に膝を立てて、ゆっくりと辰巳の服に手をかけで肌蹴させていく。
筋肉質な体が美しい。
慈しむようにそっと麗奈はその胸板を撫でる。
傷一つない綺麗な体。
刃物が刺さっていた傷跡は綺麗さっぱり無くなっている。
あれは、夢だったのだろうかとふと思う。
それでも記憶は間違いなく確かで、恐ろしい気持ちが蘇り、辰巳の胸に額を付ける。
あんな恐ろしい思いは二度としたくない。
この人を喪いたくはない。
例え自分が喪われてしまったとしても。
そう思う。
麗奈が一瞬考え込むようにじっとしていることを不思議に思ったのか辰巳が麗奈の背を煽るように緩やかに撫でる。
長い思考が徐々にできなくなっていくのが分かる。
それが少し怖ろしいようにも思う。
快楽だけに沈んでいく。
辰巳の服を全部脱がせて露わにさせる。
麗奈は感嘆の溜息を漏らして、そっと唇を這わせていく。
跡を付けたくてもなかなか付けられなくて麗奈はすぐに諦める。
辰巳の下半身に触れればもう十分に硬く大きくなっているのが分かる。
それでもこのまま挿入れてしまっては勿体なく思って、麗奈は辰巳の唇にそっと自分のそれを重ねる。
唇を薄く開くと舌が差し込まれて絡ませられる。
舌を絡ませて吸いつかれて、呼吸がし辛くなってきて、麗奈は徐々に脱力していく。
辰巳が麗奈の体を支えて、頭も抑えられてされるがままになっていく。
暫くして辰巳が唇を離して麗奈を見下ろすと、麗奈は大きく息を吸い込んで瞳を潤ませている。
辰巳が薄く笑う。
どういう感情の笑みなのか麗奈には分からない。
麗奈はそっと辰巳の頬に手を伸ばしてするりと撫でる。
「……好き…」
そう思わず呟いても彼から何か返事を返されることはない。
何かをこれ以上に望むのは無駄だと今の麗奈には嫌と言うほどよく分かっている。
悲しいせいだとは思わないが、目尻に溜まっていた水分がそっと一つ溢れていた。
辰巳はそのまま麗奈の体を反転させて膝の間に座らせる。
後ろから胸を掴んで揉みしだく。
そっと尖った先を摘めば甘い声が漏れてくる。
辰巳が首筋に唇を寄せれば、麗奈はびくりと体を震わせる。
今は辰巳も噛み付くつもりはなく首筋を舐め始める。
両方の胸の突起を弱い力で刺激しながら首筋に舌を這わせれば、麗奈は体を震わせながら感じ入っているようで、断続的に甘ったるい声を漏らしている。
辰巳がそっと麗奈の下半身に手を伸ばしていけば、先の快楽を想像してからか一度体を揺らす。
そっと中の方に手を伸ばせばもう充分なほどに濡れているのが分かる。
下の突起に触れればまた甘い吐息が溢れ出す。
突起を摘んで擦り付けてやれば麗奈は身体を捩って快感を逃がそうとする。
中まで手を伸ばして中指を麗奈の中に挿入する。
何度か指を抜き差しするだけで、麗奈も腰を自ら動かして快楽を貪る。
「あっ、はぁ…きもちい…」
溜息の合間に言葉が漏れ聞こえる。
指を出し入れして、胸の先を摘むとなんとも言えない声を上げて果てる。
指を抜いて、体を前に倒して、シーツの上に両腕をつけさせて、腰だけを高く上げさせる。
背後から辰巳が覆い被さって、一気に貫くと麗奈はガクガクと体を揺らして膝が立たなくなっていく。
辰巳は麗奈の体を支え直して、後ろから更に激しく何度も何度も揺さぶるように抜き差しする。
断続的に甘く掠れた声が漏れる。
果てた後も刺激を与え続けられて麗奈はそれに耐えるように体に力を入れている。
辰巳が中に欲を吐き出すと漸く動きが緩やかになる。
麗奈はそのままベッドにへたり込んでしまった。
麗奈は体を重く感じて、もう動けそうもない。
そのまま目を瞑るが、辰巳に体を面にひっくり返されて仰向けにされる。
抵抗する術はない。
「まだ、終わらないよ」
辰巳がそう言うが早いか、足を開かせられるとまた貫かれる。
麗奈はもう辰巳にしがみ付くしかなくて、必死に堪えるようにするしかない。
それでも許してやらずに何度も突き上げる。
突き上げるたびに嬌声が上がる。
感じるのは快楽のみ。
底まで沈んで溺れていく。
漸く終わったのは何時間経った頃だろう。
麗奈はそのまま意識を手放す。
それ以外に何が自分にできただろうか。
そう思いながら深みに嵌っていった。