High-School DayS

□High-School DayS V
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「でもさ、徹ちゃん、何で、」


羽瑠が言いかけたときドアががらりと音を立てて開いた。

二人は夏野を振り返る。

徹は明らかに動揺したようにしていた。


「あー夏野だ。悪いね。
おかえり」


羽瑠は手を挙げて夏野に言う。


夏野は羽瑠には何も言わずに、驚いた表情で徹を見ていた。


「何で徹ちゃんが…?
今授業中だろ?こんなとこで何やってんだよ」


「あ、いや、羽瑠が見えたから」


「何?サボり?」


「あーまぁそんな感じか、うん」


「ふーん…」


夏野は怪訝な表情をしていたが羽瑠に向き直る。


「羽瑠、すぐに先生も来るから」


「うん。了解」


羽瑠は夏野に笑いかける。


「あ、じゃあ。俺もう行くな。邪魔そうだし、な」


徹はそう言って出て行こうとしていた。


「…えっ、何で。もう行くの?邪魔じゃないよ、全然」


「まだ授業中だからな。
ちょっと羽瑠見に来ただけだし。
じゃあな。
もうあんま怪我とかすんなよ」


「えーうん。分かった。ありがと」


羽瑠は明らかに残念そうにして閉じられたドアを見ていた。


「授業中に戻るってどうなの。教室入りづらくないのかな」


「さぁな」


羽瑠は未だに残念そうにしていた。

それが妙に気に障る。


「なぁ。
徹ちゃんと何やってたんだ?羽瑠」


「え?何が…」


言って羽瑠は夏野に視線を合わせた。


しかしはっとした表情をする。
抱きしめられたことを思い出して頬を赤らめていた。


「羽瑠?」


「ん…あーいや。何もなかった」


誤魔化すように羽瑠は言う。


「本当かよ?」


「…逆に何があるって言うのよ?」


「さぁ?まぁ誰もいない保健室だしな?
ベッドもある」


「え!?」


羽瑠は顔を真っ赤にして動揺していた。


「何動揺してんだよ?」


「ななな 。別に動揺なんかしてないし!」


「まぁ、お前が徹ちゃん襲わなくて良かったよなって話だよな」


「何言ってんだ!お前!!アホ夏野!!」


羽瑠は指を差し憤慨したように叫ぶ。


「本当五月蝿い奴だな」


「お前のせいだよ!夏野!」


羽瑠は喚いて、夏野は肩を揺らして笑っていた。






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