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□第五話
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開始早々5分、机に突っ伏した者が一人。
もちろんそれはシカマルで。
即行で問題を解き終わり、試験開始後45分までには時間があるということで日頃取れない睡眠を取ろうとしていた。
『ねぇ、あんたもう解き終わったわけ!?』
『だって簡単だし?それくらい解けんだろ』
『こんな難しい問題、すぐに解けるわけないでしょ!普通の下忍なら無理よ!』
そう、いのの言う通り全ての問題がかなり難しいものだった。
実際、周りにいる人はみんな頭を抱えている。
いのやチョウジも解けないわけではないが、もう少し時間はかかる。
さすがIQ300以上といったとこだろうか。
シカマルにとっては簡単過ぎるものだ。
『て、わけでオレ寝るから。あと頑張れ』
『な、っ…待ちなさいシカマル!!その前に答案を『スースー…』
『っ…この、バカマルー!!!』
『…諦めなよ、いの。寝てるシカマルの中には入れないでしょ?』
実はこの試験、ただの筆記試験ではない。
カンニング容認の偽装・隠蔽術を駆使した"情報収集戦"を見る試験なのだ。
そのことに気付いていたいのは、利用して手間を省こうとシカマルを心転身のターゲットに決めていた。
だが、睡眠中の彼は術が全く効かないのだ。
寧ろ普段は気を緩め、わざとかかっている。
仕方なく、いのは別の人物にターゲットを変更したのだった。
「(開始早々寝るとは…いい度胸じゃねーか、あのガキ)」
三人のやり取りを知るよしもないイビキたち試験官は寝ているシカマルに呆れつつも注目をした。
作戦か、はたまた本気でわからずに放棄したか、どちらにしろこの試験で寝るなんて異例のことなのだ。