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□出張なんてなくなればいいと思いました
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そんなこんなで、不機嫌丸出しのまま一日過ごしてしまった。
折角プレゼントまでもらったのに。
夕飯も大好きな鯖の味噌煮だったのに。
ちっとも嬉しくない。
あぁ、もう全部アスマのせいだ!
〜〜〜♪
ベッドの上に置いておいた携帯が突然鳴り出した。
固定の着信音。
急いで電話に出た。
『よぉ、元気か?』
大好きなアスマの声。
『誕生日おめでとさん、直接言えなくてごめんな』
「別に…アンタ出張だったし、仕方ねーじゃん」
どうしよう。
さっきまで不機嫌だったのが嘘みたいだ。
一言言われるだけでこんなに嬉しいなんて。
『プレゼントやる。窓の外、見てみろよ』
「はぁ?」
言われた通りに見てみると、見慣れたでかい姿。
急いで外に向かう。
「アンタ、なんで…っ…」
「なんでってお前の誕生日だから祝いに来たんだろうが」
頭を撫でられ、額にキス一つ。
「おめでとう、シカマル」
差し出されたプレゼントを受け取る。
中を見たら、シンプルなデザインの黒いマフラーが入ってた。
「これから寒くなるからな。お前に似合いそうだったし」
「…ありがと」
「どう致しまして」
感謝の意を込めてぎゅっと抱き着く。
「今日泊まりに来いよ」
「え、でも明日学校…」
「バーカ何言ってんだ、明日は休みだぞ」
言われて思い出した。
23日は秋分の日だ。
オレの中では明日はいのの誕生日だってことしかなかった。
「泊まるだろ?」
「…うん」
オレは急いで母ちゃんに言って、アスマの家に向かった。
Happy Birthday,シカマル!