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□第六話
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アンコによって連れてこられた場所は第44演習場、別名"死の森"だった。


シカマルたち三人は何度か修行のために訪れているので見慣れていたが、他の受験者たちは呆気に取られている。


たくさんの巨木が生え、森の中は薄暗くて見えず、周りにはフェンスがあり、立ち入り禁止区域と書かれているのだ。



「此処が"死の森"と呼ばれる所以、すぐに実感する事になるわ」


フフ、と小さく笑みを浮かべて言うアンコ。


「脅しても全然平気!!怖くないってばよ!」


ここでもまた空気を読めないナルトがアンコの口調を真似して言って見せる。


「そう…君は元気がいいのね」


ニコリと笑みながらアンコが言ったその直後、ナルトの頬をクナイが掠め、背後にアンコが立っていた。



「アンタみたいな子が真っ先に死ぬのよね。…私の好きな赤い血をぶちまいて」



ペロリとナルトの頬から流れる血をアンコが舐める。
クナイを投げたのはアンコだった。


その刹那、背後からの殺気を感じ咄嗟にクナイを手に取るアンコ。



「クナイ…お返ししますわ…」



背後から声をかけたのは草隠れの忍だった。
まるで蛇のように長い舌で先程アンコが投げたクナイを持っている。

アンコは彼女にクナイを向けつつ、礼を言う。


「でもね…殺気を込めて私の後ろに立たないで、早死にしたくなければね」


冷酷な瞳を向け、言い放つアンコに草隠れの忍はクナイを渡す。

「いえね…赤い血を見ると、つい疼いちゃう性質でして…それに私の大切な髪を切られたんで興奮しちゃって…」

「悪かったわね」


アンコが謝ると満足したのか、草隠れの忍は仲間の元へ戻っていった。





この一連のやり取りを見ていたいのとチョウジは警戒するように草隠れの忍に視線を向ける。
が、シカマルだけは違った。
瞳には動揺、そして嫌悪感が窺える。

明らかに様子のおかしいシカマルに、いのとチョウジは心配そうに声をかけたがなんでもない、と返されてしまった。



(なんで…なんであいつがここにいる…っ)



気持ち悪い、と一人心の中で呟いた。
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