DESIDE 〜Opening〜

□Opening
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「リア様、走って下さい!」


それがマルコムの最後の言葉だった。
私は何が何だか分からないまま外に放り出された。

そして今全速力で走っている。

辺りからは激しい爆発音や炎があがっていた。
そして銃撃音。

私は夢なら覚めてほしい。
そう何度も思った。

でも、
転んだら確かに痛くて現実を突きつけられる。

私はただの女の子の筈なのに。

どうしてこんな事に巻き込まれるの?

そうよ、お母様は?
お父様は!?


私は後ろを振り返り、
今まで居た城を見て言葉を失った。


「嘘…。」


城が、私の家が、
炎に包まれていたから。


「お母様、お父様、マルコム!」


マルコムというのは私の専属執事。
幼い頃から一緒だった。
その執事が今日、慌てて私の部屋に飛び込んできて言った。


「リア様、早くお逃げ下さい!」


「えっ!?」


「“ボンゴレ”が、攻めて参りました!!」


ボンゴレ。
確かにマルコムはそう言った。
でも私は聞いたことのない単語の数々に首をかしげる。


「ボンゴレ?
スパゲッティの事?
攻めてくるってどういう意味?」


私がそう問うと、
マルコムの顔が真っ青になった。
「とにかく!!
今すぐに!!」


マルコムはそう言って私の体を抱えた。


「うわっ、離せ!!」


セクハラ、という言葉を飲み込んだ。
あまりにもマルコムが真剣だったから。


「マル……コム?」


そして私を抱えたマルコムは城の裏口へとまわる。
そしてそこで私を下ろした。
そして少ししゃがみ、私と目線を合わせるようにマルコムは言う。


「リア様。
ここから真っ直ぐ、走るのです。
何があっても、ですよ。」


「え……」


私はいろいろな質問を投げ掛けようとしたが、それはすぐに絶たれた。
マルコムが無理やり私を外に押し出したのだ。


「リア様、走って下さい!」


あまりにも彼が真剣だから、私はそれに従うことにした。
私はドレスの裾を翻し、走る。


……そして今にいたる。
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