短編小説
□バレンタインデー ネタ
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「ヒック…」
月詠が顔を赤くしてしゃっくりする。
「か、頭(かしら)、もう、その辺で止めた方が…」
吉原自警団のメンバー一人が言う。
すると、月詠は黙って、吉原のある店に入る。
「すいませーん」
「はい?」
「このチョコください」
「これですね?わかりました」
店の店員が言う。
数時間後
その頃、万事屋、銀ちゃんでは店長の坂田銀時しかいなかった。
「バレンタイン、いくつもらった?俺一つ。母から。…勝った、俺、母と姉からだから2つ…。そういうやつら…ファイナルアンサ」
銀時が机に座って言う。
「ファイナルアンサじゃねえ!」
銀時が椅子から立ち上がる。
「なんだよ、去年は4つほど、もらえたのに、今年は0か?あぁ?」
銀時が再び椅子に座る。
「思春期に戻りてーよ、ったく」
銀時が一人でぶつぶつ言っている。
すると、インターホーンが鳴った。
「誰だよ?こんなときに………まさか、チョコレートをくれる女か!ってなわけねえか」
銀時は玄関の扉を開ける。
「新聞なんていれねぇ……」
銀時が言う。
すると、銀時の目には顔を赤くした月詠が立っていた。
「ヒック」
月詠がしゃっくりする。
「月詠…太夫?」
「よぉ…ヒック、銀時」
月詠が中に入る。
銀時は怖くて後ろに下がった。
「な、なな、なんのようだよ?」
銀時が怯えて聞く。
「あぁ?勿論、ほれ、バレンタインデーのチョコを渡しに来たんだろうが…」
月詠がチョコレートを見せる。
「おぉ…それは、どうも」
銀時がチョコレートを受け取ろうとするが、月詠は渡さない。
「このチョコレートはな、ヒック…本命のチョコレートだ。わっちが、主のこと好きだからな」
月詠は銀時を押し倒す。
「うわっ……月詠太夫、俺を好きになったら後悔することになりますよ?」
「あぁ?わっちは主と決めたんだ」
月詠はチョコレートが入った箱を開ける。
箱の中には小さい丸いチョコレートが数十個入っていた。
そして、月詠はその中から一つチョコレートを取る。
「あーん、してくれるのか?」
「なわけがなかろう…ヒック」
月詠は取ったチョコレートを自分の唇に挟む。
「ほれ、食べろ」
「太夫!あとで後悔しますよ!僕、死んじゃいますよ!」
「うるさい男だな…ヒック」
月詠は銀時の後頭部に手をやる。
「主から行かないのであれば…ヒック…わっちから行ってやる」
月詠の顔を近づく。
「太夫!よしといた方がいい……んん!」
ついに、月詠の唇に挟まったチョコレートが銀時の口に入る。
もちろん、唇も重なる。