遊戯王5DXAL 3rd

□第76話:『孫の裏顔』
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5階のとある部屋




ガラスケースを割り、中にある血のデスリングを手に取ったセルビアのボス月荒が「へへへ」と笑う。



真っ赤なアームにルビーが埋め込まれたリングを右手の人差し指に填める。

次の瞬間、月荒の心臓がドクンと激しい動きを見せた。



『血を、血を寄こせ…』
月荒の頭に声が響いた。


そして、血のデスリングに埋め込まれているルビーがピカッと輝き出す。


月荒:「ぐわああ!」
雄叫びを上げた瞬間、月荒を中心に突風が吹いた。


孫は動揺もせず、その場に立っていた。


月荒:「これが、これが血のデスリング…!その能力は、完全回復!」
月荒は近くに置いてあるサバイバルナイフで、自身の手首を斬った。いわゆる、リストカットというものだ。


傷口から物凄い血があふれ出て、地面にポタポタ落ちる。

だが、血のデスリングがピカッと光り、サバイバルナイフで斬った手首の傷口が一瞬で消えた。



月荒:「これで俺は不死身の身体を手に入れた!俺は絶対神ともいえる存在だ!はははははは!」
高笑いする月荒を、孫が見ていた。


孫:『デスリングは、1つ間違えれば指輪に精神を喰われてしまうとも言われているが、今はまだ意識があるようだな。身体に適しているということか』
心の中で呟く孫の目線に気付いた月荒。


月荒:「どうだ?孫。これでが血のデスリングの力だ。お前がほしがっている者を俺は完全に手に入れた!お前に渡すつもりはないぞ!セルビアとフレシャス財団の同盟は、現時刻を持って、破棄する!ここから消えてもらおうぞ!」
月荒が荒い息を吐きながら、孫に言う。



月荒:「絶対神に敵う相手などいない!逃げるなら今の内だぞ?孫よ!」

孫:「その言葉、この場で砕いてやる」

月荒:「ほお、なら、ここで死ね!そのあとで、部下たちも葬って―」
月荒が、孫に向かって言葉を発していると…。



グサッ!


月荒の、心臓部分に剣が背後からグサッと刺さった。


月荒は口から血を吐き出す。

月荒:「な、なんだ…。これは…」
ゆっくりと後ろを振り向く月荒。

自分に刃を向けていたのは、セルビアの戦闘部隊隊長のゼツラだった。


ゼツラ:「悪く思うなよ、ボス」


月荒:「ゼツラ…!お前、どうして…」
仲間であるはずのゼツラが自分に刃を向けていることに驚きを隠せない月荒は目を丸くする。



孫:「ゼツラは、もうセルビアの人間じゃない。フレシャス財団のものだ」

月荒:「何…!」

孫:「お前が、同盟を結んだ振りをして、血のデスリングを奪い、俺を殺そうとしているのは、わかっていた。だから、あえてその作戦にハマった。だが、流石に一人でやるには寂しくてな、ゼツラに協力してもらったわけだ」


月荒:「き、貴様ぁ!」
血のデスリングが輝く。

月荒:「こんなことしても、血のデスリングの力があれば回復―」
月荒がそういうと、月荒は心臓部に突き刺した剣を引き抜き、その剣で月荒の右腕を基地落とした。


月荒:「ぐわああああ!」
床に月荒の腕が落ちる。


孫:「諦めろ。お前の負けだ、月荒。血のデスリングは俺がもらおう」
孫が床に落ちた月荒の腕から血のデスリングを取る。

そして、腕の方は蹴り飛ばす。



月荒:「孫!お前は!!」

孫:「あとは任せる」
孫が後ろを振り向く。


次の瞬間、月荒の背中が斬られた。


ゼツラ:「もう、あんたの命令には聞き飽きた。黙って死ね」
ゼツラがそう言った瞬間、背中にできた傷口から大量の血が吹き出し、そのまま倒れ死んでしまった。


孫:「よし、始めるぞ」
孫はこの部屋にあるコンピュータを触り始めた。
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