遊戯王5DXAL 3rd

□第87話:『本部帰還命令 百々原と遊馬』
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百々原:「国家政府の考えは、そうかもしれない。だが、私の考えは少し違う」
百々原が立ち上がり、窓から外を見る。


百々原:「この世界の戦いを終わらせるため、どうしても力は必要になる。フロンティアは世界勢力の中で最も最強とも言われている四大神王者という力を持っている。だが、君を含め四大神王者も所詮は人間だ。何もかも背負わせるわけにはいかない」

遊馬:「俺たちは、そのつもりで戦っています。みんなに向かれる牙をなるべく自分たちに向ける。それが俺たちの仕事です」
百々原が言ったことに即答する遊馬。

その言葉に、百々原がため息をついた。


百々原:「君たちがここを出ていく時も、同じことを言っていたな。家族や仲間たちもいずれは戦わなきゃいけないときがくる。その時は、自分たちがみんなに向かれる牙の見えない盾になると。だが、ダイシャラス王国のときも、今回のデスリングにしても結局、みんなには恐ろしい戦いが待っていた。キミが近くにいたとしてもだ」
百々原が言っていることは御尤もだ。

俺がいても、みんなは戦わなきゃいけない立場にあった。

俺が近くにいようがいまいが、結果が変わらない。

遊馬もうすうす感じていた。

百々原:「このままではいけない。何か手を打たなければいけないと思った私は、一つの答えを出した。それが、遊馬。キミだ」
遊馬の方を振り向き、自分の考えを述べる。


百々原:「遊馬、みんなの修行についてはくれないか?」

遊馬:「!」

百々原:「キミが仲間たちを戦いに参加させたくない気持ちはわかる。だが、もうここまで来ては引き返すことはできない。だったらせめてみんなに力を身につけてほしい。私も部下を失いたくはない」
真剣な眼差しで遊馬を見る百々原。



慎也:「元帥…」


遊馬:「それが、俺がやるべきことですか?」


百々原は頷いた。

百々原:「答えはすぐじゃなくていい。少し考える時間を―」

遊馬:「いや、答えは決まっている」

百々原:「!」

遊馬:「遊戯さんが俺にこう言ったんだ。もしみんなと過ごせることができたらよろしく頼むよって。それって、遊戯さんはこうなることを予想していたからそう言ったのかもしれない」

百々原:「遊馬、では…」

遊馬:「本日で、フロンティアに合流しますよ。あなたがそう決めて、国家政府も了承しているのなら十天老士の爺さんたちも何も言えねえだろ」
遊馬がそう言ったことで部屋の空気が変わった。


百々原:「そうか、それは、よかった」
優しい笑みを浮かべて百々原がそう言った。


慎也:「よかったな、遊馬」

哲平:「とりあえず、おかえりでいいのか?」

遊馬:「そうだな。まあ、これから大変なことが続くことは変わりはないがな」
遊馬が後頭部を掻いて言う。

慎也:「羅夢、みんなに伝えてくれ。遊馬が帰ってくることを」

羅夢:「了解です」
羅夢も嬉しそうに言って、部屋を出る。


遊馬:「国家政府が了承してくれたのはいいですが、俺を追ってくることはないんですか?」

百々原:「勿論、そこら辺についてもこちらから言っておいた。余計なことはしないでほしいとな」
百々原が椅子に座る。

遊馬:「そうか。なら、少しはゆっくりできそうだ」
今まで大変だった日常が、少しはゆっくりと過ごせることに嬉しさを感じる遊馬だった。









そして



SOA特務隊専用の大広場

未来:「そ、それじゃあ…!」

羅夢:「遊馬の方が解かれました。今日から、本部に合流ですよ」
羅夢がみんなの前で、さっきの話しを嬉しそうに言った。


ボーっとする小鳥。だが、段々と笑顔になっていく。


右京:「そうか。遊馬君が今日から」

春:「元帥が遊馬を呼び出した理由はそれだったんじゃな」


璃緒:「よかったですわね。小鳥」
璃緒が小鳥の肩に手を乗せる。


すると、部屋の自動ドアが開いた。

入ってきたのは慎也、哲平、そして遊馬だった。


慎也:「ほら」
慎也が遊馬の背中を押す。


璃緒も小鳥を遊馬の前に誘導する。



少し恥かしい気持ちだった。


遊馬:「た、ただいま」

小鳥:「お帰りなさい…って優しい答えが返ってくると思った!」
小鳥が遊馬の顔に自分の顔を近づけて、大きな声で叫ぶ。

小鳥:「50年以上もどこほっつき歩いていたのよ!私が、私がどれだけ悲しかったか。あなたに分かる?」

遊馬:「小鳥…。わ、悪かったな」

小鳥:「もう、バカァァ!」
小鳥が泣きながら遊馬の胸に抱き付いた。

もう今は嬉しくて泣くことしかできなかった。



明里:「遊馬!」

遊馬:「ね、ねえちゃん…!」
少し涙目を見せる姉を見て遊馬が動揺する。

明里:「女を泣かせるなんて、最低!」
と遊馬に平手打ち!

ブフッ!


未来:「母として責任を取らさせていただくわ。遊馬、私かも一発!」
そう言って、母からも平手打ちを喰らい、遊馬は吹き飛び、壁に激突した。


シュー


遊馬の体から白い煙のようなものが出ているように見えた。



そんな遊馬をアリトやハルト、Vがツンツンと触る。

一馬はそんな遊馬の頭に手を乗せる。




遊馬が戻ってきたことで、みんなが笑顔になる。


これから、遊馬とどんな日常を送ることになるのか。


厳しいときもあるが、楽しい時も沢山ある。

これから楽しい日々が過ごせるはずだ。








第5ED『言葉のいらない約束《sana》』







次回予告

ナレーション:レイドから取り返した英雄の神、十代のカード”大いなる力のE・HERO”。

なぜ、十代のカードが今になって、出てきたのか。剣代たちは慎也へと追求する。

一方で、杏子が遊馬の元に訪れた。

そのわけとは…。

杏子:次回、遊戯王5DXAL「決闘王と赤龍戦神隊の行方」

杏子:「私が来ることは予想していたみたいね」
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