水色の春風

□春風
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すでに熱を持つ自身に指を絡められ、自分の状態を思い知らされた。
やんわりと刺激されただけでも、体はピクリと反応する。

「…っあぁ…や……」

「嫌なら止めましょうか?」

突然、セバスチャンが動きを止めた。


―――え!?


驚いて見上げる名無しさんに、彼はニッコリと口角を上げた。

「いやらしいのは、どちらですか?」


―――っ!


中途半端に放り出された体は疼く。
満面の笑みで名無しさんの言葉を待つ彼は、本当に意地悪だ。

「あ……ぅ……」

言葉に詰まりながらも、じっと見つめ続けられれば、勝手に体温が上がっていく。
彼の手に包まれたままの物が、意思に反してピクリと震えた。

「……っ」

クスリと笑われて、真っ赤になって観念した。

「い……やらしいのは…、私も同じです……」

「でしょう?」

嬉しそうに言うセバスチャンが、途端にすべての動きを再開させた。

「っ……あ…あぁっ」

焦らして、恥ずかしがらせて、この悪魔は本当に煽るのが上手い。
不意打ちのやり取りに、心の準備と言うものを見事に打ち砕かれた。

好き放題に高められていく体。
スラックスを下着ごと剥ぎ取られ、更なる快楽を待つそこを、口に含まれる。

「あぁっ…」

ねっとりと熱い舌が絡みついて先端を割る。
唇が食むように圧力を加え、唾液を絡めた手が上下に擦った。

「ああぁっ…ぁ……っ」

手加減なしの急激な攻めに、名無しさんは早くも音を上げる。

「ま…てっ! や……っ、ダメっ……!!」

髪を掴んで引き剥がそうとするのに、セバスチャンは構う様子がない。
それどころか更に深く銜え、吸い上げた。

「も……っ! あああぁっ…」

簡単に限界を超え、甘い声を上げながら彼の口内で果てた。
ほとばしらせた飛沫を、そのまま嚥下されたのが分かる。
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