銀色の罪

□銀の剣
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「アンタを処分しに来たのよ、名無しさん」

処分!?

名無しさんは息を飲んだ。
「天を追放されて大人しくしているかと思えば、身の程知らずにもアタシのセバスちゃんに言い寄ってるなんて!!」
グレルはギロリと名無しさんを睨む。
「アンタが堕天すると、アンタを天使にしたアタシの落ち度になるのよ。だから死んで頂戴」
グレルが舌舐めずりをして、臨戦態勢に入った。

「グレルさん、これは私の獲物ですので、勝手に処分されては困ります。それに私は貴方の物ではありません」
セバスチャンが手袋を締め直しながら言う。
「あら、こんな子の肩を持つのね、妬けちゃうじゃない」
グレルがニタリと笑って、デスサイズを回転させる。
「邪魔をするなら、本命と先に殺り合うのも悪くないワ!!」

グレルがセバスチャンに向かって行った。
鋭い音を立てるデスサイズが、セバスチャンのギリギリを何度も掠める。

「ま…! 待って下さい、グレルさん!!」
名無しさんは叫んだ。
あれで切られたら、いくら悪魔と言えど消滅してしまう。
「シエルの…、彼の魂が本懐を遂げるまで待って貰えませんか! そしたら私は大人しく処分されます」

セバスチャンの目が眇められた。
「嫌よ」
答えたのはグレルだ。
「そんなにも長い間、セバスちゃんの傍に居させてあげると思うの!? 今ここで消滅しなさい!」
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