短編

□言い訳が欲しい
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 「ステラ、今日は何の日か知ってる?」
 「今日? ......世界カメの日?」
 「!?」




 「あのねステラ。
 今日は―――」
 「ユーリスは世界カメの日知らないの?」
 「......うん、知らない」




 「結局何なの?
 世界カメの日って」
 「私も詳しく知らないんだけどねー」
 「......」







 僕達以外誰もいない、放課後の教室。
 すっかりカメにペースを持っていかれ、僕は机に突っ伏していた。

 何だよ世界カメの日って......。

 窓から差し込む夕日が眩しい。
 それを眺めながら、心の中でカメに文句を言う。
 もっとも、カメは無実なのだが。



 「よし、できた」


 少し経ち、それまで何か作業をしていたステラが立ち上がる。


 「ユーリス、ちょっとそのままにしてて」
 「?」


 言われた通り机に突っ伏したままでいると、机の中を漁るごそごそという物音。


 「もういーよ」
 「何だったの?」


 顔を上げた僕がそう聞いても、ステラはただ笑うだけ。
 最終的には、屋上へ行ってくると言い残して教室から出て行ってしまった。


 何だったんだ?

 急に屋上へ行くと言い出した理由も気になるが。
 とりあえず、先程ステラが何かしていた机の中を覗いてみる。


 「何これ? ......封筒?」
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