短編

□雨の日に
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どんよりと曇った空。

薄暗い室内。

窓を容赦なく打ち付ける雨。

そして...











雨の日に











「雨、止まないね」

「...そうだね」


返事と共にページをぱら、と捲る音。

眺めていた窓から視線を外して
音のした方へ目を向けると、
部屋の中が薄暗いにも関わらず
本を読んでいる銀髪頭。

目、悪くしないかなぁ。


私とこの銀髪頭、もといユーリスは
アリエルの酒場の2階にある部屋で
暇を潰している。

何故そうなったのか。
答えは簡単、せっかくの休日だってのに
外が大荒れだから。

これじゃどこへも行けない。


「はぁ...」


これも何度目の溜息になるやら。



他のメンバーは一部を除いて一階にいる。

セイレンは「今日は飲む以外
やることねぇなぁ」、と
愚痴りつつもどこか嬉しそうに
朝からお酒飲んでて。

ジャッカルはそのセイレンに
付き合わされてる。

マナミアは食べて読書して食べて食べて
アリエルさんのお手伝いをして
また食べて。

あとの2人、エルザとクォークはルリ城に。
相変わらず忙しそう。


そしてユーリスは読書。
私は暇だから部屋をうろうろしたり
時折ユーリスに話しかけたり。


「あ、雷鳴りだしたよ」

「......ふーん」


まぁ... 相手は本を読んでるから
反応が薄くて、私の独り言に近いけどさ。


こちらを見向きもしないユーリスに
頬を膨らませつつも、また窓に視線を戻す。


しばらくぼーっと眺めていると、
遠くの方に川べりが見えた。

こんなに雨が降ったら
水かさが増すんじゃないかな...。


そこでふと、マルシェにいる
おばさんが話していた
ある噂話を思い出した。
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