□誠司が休日のパパみたいな話。
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 俺は苦笑いしてるが、微笑ましく感じていた。
「めぐみちゃん、やっぱり変身したら何て言うか決めてるの?」
「決めてる決めてる! ポーズだって考えてるんだから!」
 そう嬉しそうにめぐみはソファーの上に乗った。
「世界に広がるビッグな愛! キュアラブリー!!」
 自信満々に決めポーズを披露するめぐみ。
 お気に入りなのか、いつもしている頭にMの字を作るポーズだ。
「――めぐみちゃん、変」
 それはやっぱりダサかった。
「えぇー!?」
 めぐみは大袈裟に驚いている。
「絶対にそれ、サイアークに笑われちゃうよ! あたしもちょっと笑っちゃいそうだったし」
 真央はビシビシとめぐみに指摘する。
「おい、真央」
 顔を青くさせてるめぐみを見て、俺はひとまず真央を止めようとした。
「あっ、そうだ! お兄ちゃん、何か良いポーズないの?」
 だけど、いきなり話を振られる。
「ポーズって……」
 ないと即答しようとしたが、どういう訳かめぐみが目を輝かせて見ている。
 俺は少し考えてみた。
「こういうのは……」
 思い付いたポーズをしてみる。妙に照れくさい。
 めぐみは「おお!」と感嘆の声をあげていた。
「これは名乗ったときに最後にするポーズが良いわね」
 真央はいつになく真剣な表情でそう言葉を漏らした。
「えっ、まだ考えるのか」
 真央の言葉に俺がそう言うと、真央は睨んでくる。
「お兄ちゃんはめぐみちゃんが笑われても良いの!?」
 真央に凄い勢いで詰め寄られた。
「笑っている間に敵を倒せば、それって幸せハピネ」
「幸せハピネスじゃないよ!」
 そこに入ってきためぐみにも真央は噛み付く。
「めぐみちゃんのセンスは心配だから、皆で考えよう!」
 真央がそう言うと、めぐみは「確かに皆で考えるのは楽しいしね!」と笑っていた。



「世界に広がるビッグな愛! キュアラブリー!!」
 めぐみはそう言って、最後に俺の考えたポーズを決める。
 そのあと、めぐみと俺は真央の顔を見ると、真央はニッと笑って親指を立てた。
「ありがとう! 真央ちゃんに誠司!」
 めぐみは俺たち二人に抱き付いた。
 ここまで来るのは本当に大変だった。
 めぐみはどうしてもハートをイメージした頭にM字のポーズを入れたいと言うのを説得したり、その代わりになるポーズを考えたり。
 どういう訳か、指で輪っかを作るのがめぐみは気に入ったらしく、それもポーズの中に入っている。
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