□誠司が休日のパパみたいな話。
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 よく休みの日、俺は妹を連れて隣に住む幼なじみの家に遊びに行く。
「めぐみ、居」
「めぐみちゃん、お邪魔しま」
「ラブリービーム!!」
 ある日、いつものように遊びに行くと、幼なじみが目元にピースサインをあてて立っていた。
 俺は口をあんぐりと開けてしまう。
「わ、わわ、忘れてぇ!」
 めぐみは一気に顔が赤くなって、ソファーの後ろに隠れた。
 あいつにしては珍しい反応に少し驚く。
「おい、どうしたんだ?」
「めぐみちゃん、大丈夫?」
 真央と二人でソファーの後ろを覗き込むと、めぐみは耳まで赤くさせてうずくまっていた。
 めぐみがチラッと俺達の方を向く。
「忘れてって言ってるのに」
「そう言われてもなー……」
 めぐみは顔を真っ赤にさせたまま、立ち上がった。



「プリキュアになりたい??」
 俺がそう聞くと、めぐみはコクコクと頷いた。顔はまだ少し赤い。
「――どうして?」
 でも、俺がそう聞くと、顔の赤みは消えて目を輝かせる。
「そんなの決まってよ! だって、凄いんだよ! あんな大きくて怖くて黒い敵に立ち向かって皆を守って偉いよ!」
「だから、自分も何か手助けしたいのか?」
「うん!」
 めぐみの表情は一点の曇りもない。
 俺はなんとなく嫌だと思った。めぐみは絶対無茶をする。
「あたしもプリキュアになりたーい!!」
「えっ、真央ちゃんも!? だったら、一緒になろう!」
「わーい!」
 でも、あんなに楽しそうに話してる姿を見たら、そんなことは言えない。
「で、さっきのは?」
「――わ、技の練習……」
 めぐみは俺の言葉にまた赤くなった。
「技って……」
「ら、ラブリービームって言って目からビームを出すの!」
 今度は顔を赤くしながらも声を弾ませている。
「目からビームって……」
「めぐみちゃん、おもしろーい! 凄そう!」
 思わず否定的なことを言おうとしたら、真央がキャッキャッとそれを遮る。
「でもでも! きっとこうした方がビームらしいよー!」
 真央は声を弾ませながら、指で輪っかを作り両目にあてていた。
 すると、めぐみの瞳は一層輝く。
「真央ちゃん、ナイス! それだとコントロールもしやすそうだし、頂いちゃおう!」
 そう言って真央がやったように「ラブリービーム」と真似するめぐみ。
 真央も同じように「真央ちゃんビーム」と言ってはしゃいだ。
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