沖田双子妹
□屋台の店主は大抵ノリがいい
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とある場所からの帰り道、なまえは土手をのんびり歩いていた。
今から急いで帰れば夕飯に間に合うが、特に腹は空いていなかったので沖田に「夕飯いらなーい」とメールし、電源を切る。
鼻歌を歌いながら歩いていると、河川敷にぽつんと屋台があった。暖簾が掛かっていて客の顔は見えないが、白い着流しと黒の洋服がちらりと見えたので立ち止まる。
屯所に帰っても暇だし、相手してもらおっかな。
なまえは土手をゆっくり降りた。
「どうもー銀さん」
「ん?お、なまえじゃねーか。どうしたこんな所で」
「屯所に帰ってる途中だったんだけど銀さん見かけたから」
「可愛いとこあんじゃねーか」
「奢ってもらおうと思って。おやっさん何か作ってー」
「全然可愛くなかったわ!親父作らなくていいかんな!」
グチグチ文句を言いながらも席のスペースを開ける銀時に失礼しまーすと言って座る。ビールの入ったグラス片手に店主と言い争ってる隙に、銀時の食べていたツマミを口に含んだ。
木耳のコリコリとした食感とキュウリのシャキシャキ感が美味しくて、見てないのをいいことにぺろりと食べてしまった。
「って何食ってんの!?」
「銀さんコレ美味しかった!」
「んな笑顔で言われてもお前が勝手につまみ食ったことは事実だからね?つか腹減ってんなら腹に溜まるもん食えよ。焼き鳥とか」
「そんなに減ってないから大丈夫」
「そ?ならいいけど。いやよくないけど」
店主から出されたお茶を飲み、ふうと肩の力を抜く。別に屯所で肩身が狭い思いをしてるわけではないし、むしろその逆だが、銀時の持つ緩い雰囲気は気を緩めてくれる。
土方は怒るだろうが、なまえは総悟同様銀時を慕っていた。