沖田双子夢 2

□ぱちん、ぱちん
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ぱちん、ぱちん、と火が爆ぜ、部屋が橙色に染まる。濡れたウェアを脱いで毛布にくるまり、頭からすっぽり毛布に包まれている総悟に身を寄せた。

運よく猟師さんのだろう小屋を見つけたあたしたちは、鍵のかかっていたドアを破壊し(鍵の部分だけね)中に入った。小綺麗な室内は必要最低限なものが全て揃ってて、ここ天国じゃね?と思ったのはついさっき。

暖炉に薪を置きマッチと新聞紙で火を付け、コンロにヤカンを置いて湯を沸かしココアを入れる。タンスの中に入っていたお陰で毛布は埃臭くなく、今あたしたちはココアのカップを持ち毛布に包まれながら暖炉の前に座っていた。


「幸せ…」

「ホント。そうだなまえ、顔こっち向けろ」

「ん?」


総悟に顔を向けると、ビュッと勢いよく冷たい水を頬にかけられる。それに反応する前に頬がギッと痛み、スースーした匂いもあって消毒液だと分かった。けど大量に掛けられた分痛みも酷い。


「いっ、痛い!」

「ジッとしてろィ。死ぬぜ」

「これっぽちの切り傷で死ぬわけないじゃん!ってかもっと優しくできないの?」

「やってやったのに感謝の言葉もねーのかィ。お兄様はそんな妹に育てた覚えはありやせんぜ」

「お兄ちゃんありがとう!けどやり方に意義あり!」

「意義を却下。ほら、拭き取るから黙れ」

「う、うん……でも擦るなァァァ!」


荒い手当ても終わり、お返しに総悟の切れてた腕も優しーく手当てしてあげて「痛てェェェ!余計血出てんじゃねーか!」「気のせい気のせい」「どこがでィ!」そのあとは遭難してるにも関わらずまったりした。

だって焦っても仕方ないし外は暗くなってるし、きっといさ兄たちが暖炉の煙を頼りにに見つけてくれるでしょ。必死の形相でね。

体が程良く暖まったところでお腹がぐうと鳴る。昼のラーメン以降何も食べてないし、あれだけ動いたんだから空くに決まってるよね。毛布で体を包んだまま立ち上がり段ボールの中を覗くと(ここにココアもあった)カップラーメンや乾パンなどの非常食があった。


「なんか食べる?カップラーメンあるけど」

「食う。俺ペヨングと茶のたぬき」

「じゃああたしUFQと黄色いきつねにしよ」


もう一回コンロにヤカンを置き湯を沸かし、総悟の分も蓋を開けカヤクを入れてあげる。ピーと甲高い声でヤカンが鳴いたので火を止め、内側の線まで湯をたっぷり注ぐ。
3分待って同時に蓋をめくり暖かい麺を啜れば、はあ…と疲れと安堵から息が漏れた。

まあまったりし過ぎてる間は否めないけど、いつでもどこでもマイペースなのがあたしたちです。





 
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