沖田双子妹
□12月25日
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あの後妙にもプレゼントを渡しに行くと興奮気味に語った近藤と別れ、なまえは一回身に付けていた物を外し身支度を整えた。かっちりした制服を着て廊下から空を見上げれば、昨日の雪雲は嘘のように綺麗に晴れ渡っていた。
「オイ、落ちるぞ」
廊下ギリギリの位置で立っていたなまえに、横からぶっきらぼうな声がかかる。気配には気づいていたので、言われた通りその場から離れて声の方に振り返った。
「おはよー、トシ兄。クリスマスの朝から疲れてるね」
「一年中疲れさせてる原因に言われたくねーよ」
「総悟かあ」
「オメーもだよ!!!!」
いい反応を見せる土方にケラケラ笑えば、もういいと溜め息を吐かれた。もういいって何だと眉間にシワを寄せると、癖になるぞと土方に人差し指で眉間を解される。癖になってる本人が言うのだから間違いないとなまえはすぐに止めた。
「そうだ、ちょっと来い」
実は2人が立っていたのは土方の私室前。有無を言わさずなまえの手を掴むとスタスタと部屋に入っていった。
太陽の光が入る部屋で土方は押し入れを開ける。その後ろ姿をじっと見ながら欠伸した時、
「ほらよ」
その言葉と共に渡されたのは可愛らしいリボンの付いた包み。プレゼントをくれることは流れから予想していたが、毎年変わらず贈ってくれることになまえの頬も緩んだ。
「ありがとう!開けていい?」
「勝手にしろ」
そう言いつつ少しそわそわしてる。素直じゃないなあと思いながら包みを丁寧に開く。
「―――うわあ!」
出てきたのはパステルピンクのシンプルなマフラー。しかしそれはなまえが好きなブランドの冬の新作で、ひそかに欲しがっていたものだった。
マフラーを手に持ち嬉々とした表情で土方を見れば、なまえの喜びように安心したのかホッとしたようにニッと笑った。
まさかのサプライズに嬉しさのあまりふるふる震え、
「トシ兄大好きィィィィ!」
「うおっ!?」
突進するように抱き着けば驚きながらも難なく受け止めてくれた。危ねーだろと怒られたが、なまえは構わずあははと笑った。