沖田双子妹

□12月24日
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大通りを歩き、一際目立つ巨大なクリスマスツリー前に来た。ここはカップルの待ち合わせ場所になってるようで、1人携帯を見ている女の子や彼女の手を引き歩く男の姿があった。

双子は足を止め、輝くツリーをぼんやり見上げる。綺麗だなあと思った、そんな時、


ふわり、ふわり、


「「あ」」


視界に入り込んできた、真っ白い雪。ふわふわと降ってきたそれを手で受け止めると、ひんやりした感触を残して消えた。


「ホワイトクリスマス、ってやつか」


沖田も手を出し雪に触る。降り始めた雪に気づいた人々は一様に空を見上げ、隣にいる恋人や家族に楽しそうに微笑んだ。

沖田が周りを無表情で見回したあと、妹に視線を移す。自分と同じ栗色の髪には雪が付き、出ている耳は赤くなっていた。はあと両手に息を吹きかけているのを見て、そういや手袋なくしたって言ってたな、と見回り前の会話を思い出す。

まだツリーを見ているなまえの髪から適当に雪を払ってやれば、ん?とこちらを向く。それには何も言わず、暖めきれていない手を取り自分のと一緒にポケットに入れると、スタスタと屯所の方へ歩き出した。

片手を引っ張られたなまえはもう一度ツリーに振り向き、そしてすぐ前を向いた。暖かくなった左手をギュッと握れば同じように返された。

屯所に着く頃には握力自慢のようになってしまったが、そんなとこが自分達らしいとなまえは笑った。




 
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