沖田双子妹
□おでんの季節ですね
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「ふー寒いー」
「夕方になると一気に気温下がるからねェ。……あ」
「ん?」
見回りの途中この前見つけた人の通らない場所で居眠りをしていたなまえたちは、日が落ちた頃に目を覚ました。辺りは暗くなり、ひゅうと吹く風は秋の装いだ。
外していたスカーフをしっかり巻き屯所に帰っている道すがら、2人は煌々と光るある建物を見つけた。
「「コンビニ」」
窓にデカデカと張られた「おでん」の文字が視界に入れば、足の向きは当然のように変わっていた。
「うわあ、美味しそう!」
「セール期間みてぇだな。なまえ何する?」
「しらたき!」
「…また腹に溜まらなそーなもんを」
「いいでしょ別に。しらたき美味しいもん」
「悪いとは言ってねーやい。じゃあしらたきと、定番のだいこんと」
「卵とこんにゃくと」
「ロールキャベツと」
「え、定番?好きだけど」
「ちくわと」
「え、スルー?ねえ総悟くん」
「ちくわと」
「どんだけ入れんの!!?あと白はんぺんも」
「これうめーよな。ふわふわしてて」
「そうそう。ふわふわしてるとこがいいよね。ちなみに裏は液が染みて茶色なんだよ」
「あ、ホントだ」
「見た目を良くするために茶色い面は一ヶ所。これ裏事情」
「何でオメーが知ってんでィ」
「コンビニでバイトしてる知り合いが教えてくれた」
「へぇ。他に何か食う?」
「んー、夕飯もあるしあたしはこれでいいよ」
「じゃあ以上で」
おでんの入った器をレジに置き、なまえが財布を開く。2人で何か買うときは、気分でどっちかが払っていた。前に行った駄菓子屋やラーメン屋の時は沖田だった。
会計を終え器が入った袋を慎重に持ち、2人は冷たい風が吹く外を身を寄せあって歩いた。