沖田双子妹

□秋の祭りもオツだよね
3ページ/4ページ

 




射的屋で全商品落としたり(総悟は店主さんと顔馴染みなのか無料だった)、チョコバナナや綿あめを食べたりと屋台をある程度冷やかした後、最後に行きたかった屋台へ顔を出した。


「おじちゃん!たこ焼き3つ!」

「はいよ!おやカップルかい?」

「そうでィ。お似合いだろ」

「あっはっは!美男美女な2人にはオマケしちゃうよっ」

「わあ!ありがとう!男前なおじちゃん!」

「あざーす」


ノリのいい会話でたこ焼きを買って、イカ焼きと焼きそばを持った総悟と花火が見える場所まで歩く。

打ち上げる時間が近いのか人が高台へ上っていく中、あたしは総悟に連れられて人の並みとは逆方向へと進む。




「うわあ!」


着いた先は人が誰もいない、小さな高台。でもそこはお祭り会場と打ち上げ場所が一望できる、特等席だった。


「総悟何でこの場所知ってるの?」

「前にカラクリぶっ壊してる時たまたま見つけてねィ。知ってるのはなまえくれーだぜ」

「マジでか!」


その言葉に嬉しくなって、見渡すために置かれたベンチに総悟を引っ張った。痛ェとか聞こえたけど、ちゃんと来てくれるとこが優しいよね。


「もう時間かな」

「そろそろ…」


ドドーン!


音と共に、視界いっぱいに花火が咲いた。

光の舞が夜空に広がり、あたしたちは美しさに見惚れて暫く無言だった。

最近の花火は発展したのか、光の滝や連続打ち上げの他に、ハートなどの模様までも浮かび上がらせ、本当に美しかった。


最後の打ち上げが終わり、辺りは静かになる。
隣の総悟を見れば、総悟もあたしを見るところで、顔を見合わせて笑った。


「さて帰りやすか」

「お土産このくらいでいいかな?」

「足りるだろ。祭りに来てる隊士もいたしな」

「彼女と来てたみたいだから、明日詳しく聞いてみようかな」

「そしたら教えろィ」

「任せて。あ、たこ焼きにマヨネーズ忘れた」

「懐に常備してるくれーだから自分でかけるだろ。つかマヨネーズいらねーつったの俺」

「あ、そうなの?まあトシ兄なら自分でかけそうだしいっか」


お面を頭に付けて、あたしの手にはたこ焼きと青いヨーヨー。総悟の手にはイカ焼きと焼きそばと射的の景品。

あたしの左手は総悟の右手と繋がったまま、お祭りの余韻に浸りながら屯所への道を歩いた。





 
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ