沖田双子妹
□ハプニングには冷静な対応を
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あれからすぐにスタッフが、バーの故障の謝罪と怪我の有無を確かめるため泣きそうな顔で飛んできた。
沖田や土方はおろかあの温厚な近藤まで怒り、しかも彼らが真選組の幹部だと分かるや否やさらにスタッフ一同平謝りだった。
それをプールサイドにぺたんと座って見ていたなまえは、代わりに怒ってくれる彼らをただ見ていただけだった。
何とか話はついたのか、沖田はいつもの無表情のままなまえの元へ来る。
「何そんなとこで座ってんでィ」
「結構怒ってたね」
「近藤さんには負けまさァ。ってわけで半永久無料パス貰ってきやした」
ピッ。沖田が指に挟んで見せたのは、大江戸プール無料パスに半永久とスタンプが押されたカードだった。
「えええ!何それすごい!入場無料なの?」
「そうでさァ。しかも飲み食いもタダ」
「マジでか!さすが総悟!じゃあ早速食べ行こっ」
「何食う?」
「かき氷〜」
ぴょんと立ち上がり沖田の腕を掴むと、早く早くと笑顔で腕を引く。それに引っ張んじゃねェと文句を言いながらも、沖田は着いていった。
それを少し離れてたところで見ていた近藤と土方は、
「元気いいなァ、アイツら。なまえなんてあんな目に遭ったっつーのによ」
「あっはっは。総悟が側にいたから大丈夫だったんだろ」
「たしかになまえはガキん頃から総悟がいればいつも笑ってたっけ」
人混みに消えていく寄り添った栗色を見つめながら、懐かしいなァと2人は笑った。