沖田双子妹
□お姫様の愛車
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バイク前に既にいた土方が持っているのは、マヨネーズのワンポイントが入った黒のハーフヘルメット。もちろん彼専用だ。
なまえは今日は土方と一緒のハーフヘルメットで、ピンクと黄色のラインが入った可愛らしいデザインだった。
「よし、行くか」
なまえが先に乗り、土方も次いで乗る。腰に腕を回し、偉そうに発車準備を促した。
「トシ兄さあ」
「あ?」
屯所内にはブオオン、ブオオン、とエンジン音が鳴り響く。それに邪魔されないよう大きめに返事をした土方は、すぐに顔が真っ青になる。
「主導権があたしにあるサド子に簡単に乗るなんて…甘いよ、苺パフェより甘いよ」
サイドミラーから見えたなまえは、土方に向けてニヤリと真っ黒に笑っていた。
危険だと脳内に警報が鳴り響き、慌てて降りようとした時には遅く、
「落とされないように掴まっててねー!」
「お、、降ろせェェェ!」
「レッツパーリー!キャハハハ!」
メーターをMAXまで上げ、土煙をあげて門から出る。その時何かと当たった気がしたが、それを土方が気にしている余裕はなかった。
「ギャアァァァァッ!止めろォォォ!」
「ヘイ!みんな避けて避けてェ!」
「バカなまえっ…!」
「あれぇ?トシ兄手が震えてるけど大丈夫?」
ニヤリとまた笑ったなまえに、もうコイツのバイクには乗らねェ、と景色が流れ過ぎて見えないスピードの中で思った土方だった。
ちなみにさっきなまえのバイクが当たったのは、
「局長ォォォ!大丈夫ですかっ!?」
「だ、誰がこんなことを!まさか攘夷志士か!」
「卑怯なマネしやがって…っ。許さねェ!!」
そんな一悶着があったとか。