沖田双子妹

□双子なんですよ
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よし、そろったな。

近藤が広間に集めた隊士たちを確認して、その大きな口を開いた。


「紹介するぞ。この子は沖田なまえちゃん。京での長期任務を終えて今日帰ってきた。だから知らないヤツが多いと思うが、真選組創設からいる古株だ。みんな仲良くな!」

「「はーい!」」

「役職は副長補佐。この中じゃ一番年下だが剣の腕は立つ。新人はなまえの手が空いてるときは稽古してもらえ」

「「はい!」」

「見て分かると思うが、俺の双子の妹でィ。手ェ出すんじゃねぇぞ。殺すからな」

「「は、はい」」


局長副長一番隊隊長が順々に紹介する。当の本人は土方と沖田の間で大人しく正座をしていた。

ここに来た時の服装から一変、かっちりした隊服に着替えたなまえは、キリッとした眼差しで隊士たちを見ている。

その真っ直ぐな視線を受けてか、隊士たちの中で頬を染める者も少なくない。もちろんその度に沖田から睨まれ、ブラックリストへと名前が書かれていることを古株以外は知らない。


「じゃあなまえちゃんから一言どうぞ」


近藤が腕を組み直して、黙ったままのなまえに笑顔を向ける。

それを見てなまえは一度目を伏せ、ぱちりと開く。


「久しぶりの人も初めましての人も、改めまして沖田なまえです。大まかなことはこの3人が自分のことのように言ってくれちゃったから、あたしから言うことはあまりないけど、まあ聞いてください」

「「「…」」」

「あたしは京で何人かの隊士たちと3年間任務に当たってました。だから久しぶりに帰ってきて分かんないことがたくさんあります。早く慣れるようにするので、えー、迷惑かけるかも知れませんがどうぞよろしくお願いします」


ぺこり。正座のまま頭を下げる。

あの沖田の妹だと聞いていただけに、隊士たちは目を丸くして驚いていた。しっかりした内容、丁寧な言葉遣いと低姿勢。どれを取っても沖田の妹だとは信じられない。

ただ風に靡くさらさらとした栗色の髪と真っ直ぐな蘇芳の目、整ったベビーフェイスは沖田そっくりで、やはり双子なのだと外見を見て実感する。

この子ならしっかりしてそうだし可愛いしよかったあ。

と隊士たちの雰囲気が緩んだ頃、なまえがあっと声を上げる。


「言い忘れてたけど、女だからって甘く見たら切腹ね。いきなり来た年下の女に良い顔しない人もいると思うけど、そんなの知らないし。もし今後女のくせにとか言いやがったら、即拷問部屋だから。あ、場所分かる?新人でもし分かんなかったらその場で介錯してあげるんでよろしく」

「「…」」

「返事」

「「は、はいィィィ!」」

「よろしい」


そう言ってにっこり笑ったなまえはとても可愛かったが、それに見惚れる余裕なく隊士たちは真っ青。

やっぱり沖田隊長の妹だと、外見性格ともに全員が納得した。





  

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