沖田双子妹
□人それぞれやることがある
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咳き込む沖田を土方に預け、なまえは近藤たちを捕えたえいりあんを見る。
そちらには2人の男が近藤と山崎を救出し、さらにもう1人の男がえいりあんをなまえと同じように真っ二つにして倒していた。
顔が青いが大丈夫そうな近藤たちに安堵して、自分に向かってくる気配に振り向く。
そこにいたのはなまえと同じ黒の隊服を着た、神崎大和だった。
座り込む沖田と土方をちらりと見てから、なまえの隣に並んだ。
「隊長、松平さんに連絡取れたよ」
「ありがとう。とっつぁん何だって?」
「すぐに向かわせるって。この場はそのままでいいらしいよ」
「分かった」
なまえが頷くと、伝達の終わった大和は死んだえいりあんに近づいた。
なまえは地に座ったままの沖田の前にしゃがみ、視線を合わせる。
「ホントに大丈夫?」
「大丈夫でィ。けど来んの遅ぇ」
「だからごめんって。今までやってたのが長引いちゃってさ」
「…」
眉を下げて笑うなまえに、沖田が手を差し出す。なまえはすぐに立ち上がり、目の前の両腕を引っ張った。
そんな2人を見て、土方はフッと笑った。
「はー、疲れた。明日は非番だぜィ」
「なワケねーだろ。屯所帰って風呂入って寝たら仕事だ」
「やだやだ、ワーカーホリックって。早死しますぜ、土方さん。つか死ね」
「ほんの少しでいいからワーカーホリックになってくんない?!お願いだから!そして死ね」
言い合う2人に笑って、なまえはその場を離れる。沖田は大丈夫そうだ。顔色も良くなってきたし、目眩や吐き気も見当たらない。
近藤と山崎を見れば沖田と同じように元気そうだった。隊服の裾を翻しながら近づくと、、なまえの姿を捉えた2人は嬉しそうに手を振った。
「2人とも大丈夫?」
「ハハッ、何ともないぞ!」
「…局長涙目です。でもホント、なまえちゃんたちが来てくれて助かったよ」
首を擦る近藤と苦笑した山崎に再度謝って、なまえはその後ろにいた男たちと見る。
刀を鞘に納めた時和泉は、えいりあんを確認していた倉田律とマントを被った人物を呼び、なまえの元へいった。
「お疲れー、これで仕事は終わりだよ」
「ホントお疲れだぜ。早く風呂入って寝てー」
「和泉はいつもそればっかだねぇ。体力ないのぉ?」
「んだと律!!!」
「隊長…お疲れさまです」
「ハクもね。大和が連絡入れたからもう帰れるよ」
「あと数十分で来るって」
沖田たちを襲ったエイリアンを確認していた大和も加わり、5人は輪になって互いを労った。
マントを被った人物はハクと呼ばれていたが、顔までは見えなかった。