沖田双子妹
□さあ、うちに帰ろう
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京の夏は暑くて暑くて、毎年死ぬんじゃないかって思うくらい暑かった。それでも趣がある道を浴衣で歩いて氷を食べたり竹林で涼んだり、時間がゆっくり進む夏は嫌いじゃなかった。
そして3年ぶりに帰ってきた江戸。江戸の夏は京のように自然の涼しさは少なかったけど、総悟たちが過ごしてきた季節だと思うと嫌ではなかった。
夏もあと少しという時。とっつぁんがくれたチケットは、江戸の夏での思い出を作ってくれた。
着いてすぐ乗ったスライダーでバーが壊れる事故に遭ったり、迷子の頼夜に出会ったり、トシ兄の逆ナン助けたり。
他にもいさ兄と流れるプールに行ったら、いさ兄がホントに流されちゃってあたし爆笑。たしかに深くてあたしの足はつかなかったけど、大の大人が溺れるって!いさ兄の助けを呼ぶ声にすっ飛んできた総悟とトシ兄は、それを見るなり爆笑と溜め息。
助けられたのはいさ兄が流れるプール1周してから。つか立てばよかったんじゃない?いさ兄ならギリギリ立てたよね。
楽しかったプールも、閉館時間と共に出て今は車の中。総悟は隣でアイマスクをつけて寝てる。
出る前に4人で撮った写真をデジカメでもう1度見た。
事故以来あたしたちに低姿勢なスタッフに撮ってもらった写真は、みんな笑っててお気に入り。いさ兄はもちろん、総悟もトシ兄も楽しそうに笑ってくれた。
とっつぁん喜んでくれるかなー。
売店でみんなにお土産も買ったし、あとで退に色々話してあげよう。地味に行きたがってたから、来年は退やみんなも一緒に行けたらいいな。
トシ兄が走らせる車の中から外を見れば、夕日が沈み星が輝き始めていた。
あれが夏の大三角形かなと思いながら、デジカメを落とさないようにポーチに入れて、総悟の肩にもたれ掛かった。
江戸の夏もなかなかいいね。
あー、楽しかった!