沖田双子妹
□ハプニングには冷静な対応を
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「オイ貧乳」
「んだと粗チ「だめだめだめー!女の子がそんなこと言っちゃいけません!」
「…んだとチビ」
「何でビキニなんて着てんでィ。貧乳にはスクール水着がお似合いでさァ」
「うわあ、スク水とか変態なんだけど。妹はショックで泣きそうだよ」
「ならお兄様が啼かせてやろーか」
「とか言ってホントは自分が啼きたいんじゃない?」
さすがサディスティク星の王子と姫。SにはSで返している。そして周りの客は彼らの会話を聞いて数メートル離れてしまった。
「おーいS双子、客がドン引いてっぞ」
「ってかあたし貧乳じゃないし。第一貧乳はステータスって言うから。ね、いさ兄」
「そうだぞ総悟!お妙さんの胸を見るんだ!なんてステータス!!」
「…近藤さんアンタそれ本人に言うなよ」
「ハッ、見たところBかC手前くらいじゃねーかィ。大人しくパーカー羽織っとくんだな」
「妹の乳分析してんじゃねーよ。あたしはこれからさらに成長するからいいんですゥ」
「女は男に揉まれて大きくなるんでィ。だからなまえには無理な話だぜ」
「成長期で女は大きくなるの。男に頼らないでも大丈夫なんでィ」
「なまえ、語尾語尾」
「おっと」
「ん、なんだあれ」
お妙の胸について1人妄想していた近藤が、何かを見つけて声をあげる。言い合っていた2人も同時にそちらを向いて、その様子にやっぱり双子だなァと土方は変なところで感心した。
「なんでさァ、あれ」
「あっ、このプールで1番人気のスライダーじゃない?なんでも10分間滑り続けるとか」
「いやいや、なげぇよ!」
「ホントみたいだぞ、トシ」
近藤が持っていたパンフレットを広げ、4人で頭を付き合わせて覗き込む。
なまえの言う通り、近藤が見つけたのはこのプールの目玉アトラクション、10(テン)ミニッツスライダー。名前の通り10分間滑り続ける、日本最長のスライダーだ。
スライダー専用のボートに乗り、左右上下を急上昇急降下急旋回。
途中人形が平和の歌を歌ったり海賊が砲弾を撃ってきたり星空の中を滑ったりと、某王国のアトラクションによく似たコースを滑り、ラストはプールへと真っ逆さまにダイブする。
10分間とスライダーにしては長いが途中にある工夫から飽きることはないため、これに乗るために日本全国から人が来ると言われている。
「あれ乗りたい!みんなで行こうよ!」
「俺ァここで待ってる。荷物も見てなきゃなんねーし」
「土方さん怖いんですか?」
「ああ?」
「左右上下を滑るってこたァ、スライダーとはいえジェットコースター並ってことでさァ。怖がりな土方さんにはちとキツいですかねィ」
ニヤリ、沖田が明らかな挑発すると、
「怖いわけねーだろうが。ハッ、乗ってやるよ!テメーこそびびってまた助けてェェとか言うんじゃねーぞ」
「二度と言うか土方コノヤロー!」
刀はないためガンを飛ばし合いながら、2人はスライダーまで走り出した。
なまえと近藤はバカだねェと肩を竦め、パラソルの下にあった貴重品を近くのコインロッカーに預け、小さくなった2つの背中を追った。