卑怯な俺と恐がりな彼女-織葉-
□何かを望んだ結末
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江坂が仕切りに入るよう勧める会社に、中途採用の面接試験に向かう
その会社で江坂はライン技師として働いていた
「お前はラインに向いてる。ちょうど求人してるしな。営業も空きがあるけど、人とあまり接したくないのであれば顧客と直接接点があまりないラインに来な」
「このまま何もしない訳にはいかないってわかってる。けど……」
実家へ帰ってきてから、ほとんど何もせず毎日を過ごしていた
ただ時間が過ぎていく中、自分を責め過ごしていただけ
このままじゃいけないとは思っても、体が頑として動かなかった
口籠もった私を、江坂が苛ついた表情を浮かべ見ていた
「けど何だ?何かあった時の為に、わざわざ俺様が働いてる会社勧めてんだろ。面接用の作り笑いの練習は光にさせるから決まりな」
有無を言わさない勢いで言われ、思わず頷いた
後日、言われた通り面接試験のアポをとり、光が休みの日に1日付きっきりで笑う練習をしてくれた
上手く笑えない私に溜め息をつき、『イチゴ食べてる時を思い出しなさい』と言われ必死に練習する
面接中は始終光に言われた事を実践した
こんな付け焼き刃で受かる訳がない
そう思っていたのに、面接試験の翌日、採用の連絡があった