卑怯な俺と恐がりな彼女-本編-
□呪縛からの解放
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付き合い始めたと言っても、主任は仕事とプライベートは相変わらずきっちり分けている
会社では部下と上司
仕事がやりづらくなるかもしれないと、会社では付き合ってる事はあえて誰にも言わない事にした
お互いに出張や付き合い、休日出勤ですれ違いの中、一緒にいられる時はどちらかの部屋に行き、泊まれる時は泊まっていく
付き合い始めて1ヶ月も過ぎた頃、主任が担当していたプロジェクトが終わると同時に、プロジェクトの成果が認められ係長昇進となった
その日部屋に行くと、主任は一人うなだれていた
「頑張ってきた成果なんだから、喜んでいいと思うよ?」
「いつも内示が無いんだよ。異動の時も副主任の時も、主任の時も」
「そりゃ、内示なんてしたら織葉が断るって会社も分かり切ってるからだろう?」
そう言うと、またうなだれた
「今夜は俺が作る」
キッチンへ行こうと立ち上がると、自分が作るからと主任も立ち上がる
「何にも大した物作れないけど、昇進祝いと慰労。昇進は気が進まないかもしれないけど、プロジェクト頑張ったんだから。今日は俺が作る」
そう言うと主任は大人しくキッチンの椅子に座った
「年始からは海外出張も入ってくるけど、年内はもう何にもないから早めに帰って夜ご飯作るからね」
そう言いながら、料理本に目を通している
「本当に早く帰れる?あんまり期待出来ない」
そう言うと苦笑いしていた