卑怯な俺と恐がりな彼女-本編-
□普段の姿
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主任とは、指導員を外れて以降全く話をする事はない
プロジェクトが立ち上がった中、指導員を取り纏めるリーダーだけは引き続きしていて、各指導員からの打ち合わせに通常の顧客の対応
周りから見ても明らかに多忙を極めていた
そんな中でも無表情で仕事をこなす姿は変わらない
『仕事に打ち込む事で余計な事を考えなくてすむ』
そんな想いで仕事をしてるなんて誰も思わないだろう
淡々と仕事をこなしていく姿が、俺には何だか儚く思えた
休憩時間、喫煙所で主任はいつもの席でいつも通り携帯を見ている
りぃ君は最近指導員と出かける事が多く、俺は他の従業員や一人で過ごす事が多くなった
最近では知り合いも増え、喫煙所では俺のテーブルに色んな従業員が入れ代わり来ては他愛ない会話をしていく
いつもりぃ君が座っている席に今日座ってきたのは、最悪な奴だった
大卒で同期の和田
『一人?珍しい』と馴れ馴れしく話しかけてくる
入社以来、こいつとは反りが合わない
人の噂話しを聞いては、話しをデカくして色んな奴に言って回る質が悪いタイプ
人をよく観察しているりぃ君も和田は苦手らしく、俺もりぃ君も部署が違う為、関わる事のない環境にほっとしていた
「りぃ君は業務で外出してる」
そう言うと伺う様な表情で尋ねてきた
「須藤、村瀬主任の指導外れたんだってな?」
そんな事迄よく知ってるなと、ある意味関心する
「それが?」
素っ気なく返した事に気付いてないのか、奴は話しを続ける
「外れてラッキーだと思うよ?」