卑怯な俺と恐がりな彼女-本編-
□桜の木の下で
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「あれ…、来てた?」
朝目を覚ますと、彼女が部屋にいた
「日曜ぐらい出かけない?」
テレビを見ていた彼女が振り向きそう言う
「ダルい…」
「え〜!?行こうよ行こうよ〜」
「来週の日曜、会社の行事で休み無しなんだから今日ぐらい休ませろよ」
「え〜?来週会えないなら尚更どこか行こうよ?」
そんな彼女の勢いに負け、慣れない仕事疲れでダルい体を無理やり起こす
智恵とは高校3年の1年間付き合っていたが、卒業と同時に別れてから、大学に行っている間は全く会う事がなかった
卒論が終わり単位も取れ、地元に帰って友達と遊んでいる時に再会した
「今彼氏いないんだよね。佑も彼女いなくて暇でしょ?」
そんな智恵の発言に頷いたからか、こうしてまた付き合う事になった
「早く行こ〜よ。お腹空いた」
助手席に乗り込んだ智恵は、まだ頭がはっきりしてない俺を急かす
智恵は2つ年下で、同じ高校を卒業後、地元の企業に就職した
社会人としては2年先輩になるのだが、学生の時と全く様子は変わらない
別れた時はお互いに気持ちが無かった分、後腐れなく終わったからか今こうしてまた付き合ってる
「私も朝ご飯食べてないから朝マックしよ?」
「ああ」
出掛ける時は大概、智恵が主導権をこうして握っていた