涙と笑顔のその傍に

□怯えと歓び―百合―
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季節は冬


彼と付き合い始めて2ヶ月が経とうとしていた


付き合い始めたと言っても、今までと変わらない日常


彼の部屋に行き、白桃と遊び、本を読み、映画を見て、時々お出かけする



変わった事と言えば


ソファーに座る彼との距離が近付いた事


映画を見ていたり本を読んでいる時に、肩に回される彼の腕に毎回背中が緊張するけど

髪を梳かれる度にいつの間にか安心している



もう少しすればクリスマス

恋人がいるクリスマスは初めてだ


クリスマスは彼は仕事、私は学校


夜ご飯にでも出かけようと誘ってくれたが、『やっぱり前日の昼に行こう』と彼は言い直した


彼と会った日はいつもバスが着く時間には自宅近くまで送ってくれるから、親は私に彼氏がいるとは気付いていない

私の親は厳しくはない

けれど男性の部屋に度々行っているのがわかったらいい顔はしないだろう


彼もそれを気にしてくれているのか、いつも時間には気を遣ってくれている



クリスマス用のプレゼントを真希と買いに行った

私はブランドに疎い

お洒落には敏感な真希に相談しながら買ったキーケース


初めてのプレゼント


いつものお返しが出来るという喜びと、彼は気に入ってくれるだろうかという不安




頼れ




以前彼はそう言ってくれた


何をするにも私に払わせてはくれない

実際、アルバイトをしてない私は、月のお小遣いの範囲内では厳しいのが現実だった


彼はよく車のキーを探している


貯めたお小遣いで買ったキーケース


彼は使ってくれるだろうか



早く大人になりたいなぁ…
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